空色少女 再始動編
347
キレた紅奈は強い。
怒り任せの攻撃のくせに、隙はなく的確に撃ち込んでくるのだ。
直感も鋭くなるのか戦闘センスは俄然と上がる。
(!、一年前より……腕が上がってるだと?)
紅奈の二発の斬撃だけで紅奈の剣技の成長に気付かされた。
紅奈と剣を交じり合わせるのは一年と半年ぶりだ。
紅奈は一年と半年、剣を握っていないとばかり思っていたが密かに特訓していたのか?
ガキキンッ!
剣と剣がぶつかりあう中、マーモンは紅奈の不機嫌な原因を話し始めた。
「はぁあっ!?オッタビオが始末しただと!?」
思わずマーモンに気が逸れたが、その隙をついて紅奈が剣を振り上げたため防ぐスクアーロ。
剣で誰にも負けるわけにはいかない。
「彼は先日、クーデターを起こしたヴァリアーの復活を邪魔しようとした勢力を潰したんだって。容疑者Aと容疑者Bはその残党で、今日は始末しに来たってわけさ」
「つまりオレ達は」
「先を越されたってわけ、だっ!!」
相手は大物というほどのものではなかったが、オッタビオに先を越された。
怒りの斬撃でスクアーロを飛ばす。
負けじとスクアーロは体勢を整えて斬り込む。
「んまぁ……これって失態じゃない?もっと早くに気付いてれば…」
「絶好の機会じゃなかったからいいじゃないか。次に備えればいい」
「……ボス…」
「オレはこれで良かったと思う」
「あら、なんで?ベルちゃん」
紅奈に八つ当たりされないよう離れて防寒するルッスーリア達。
疲れが取れないベルは壁にもたれたまま座って紅奈を見つめた。
「王子のカーン」
とだけ答えた。
「う゛お゛ぉおいっ紅奈!」
「なんだ?ギブか!?」
休む暇なく剣を振り相手に叩き付けながら口を開く。
「焦るなぁ、お前の怒りはこのオレが受けてやる。次のチャンスはぜってぇものにしてやろうじゃねぇか!う゛お゛ぉおい!」
「…当たり前だ!」
キンッ!
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]