空色少女 再始動編
346
「紅奈様」
「!」
「なにかご用ですか?」
紅奈の目が塞がれて、抱えあげられたかと思えばキッチンに追い出された。
この声は、オッタビオだ。
「今シェフがいないのですが…お腹が空いたのですか?」
「……タピオカジュース、頼もう思って」
「はは、生憎それはないです。よろしければ街で買ってきましょうか?」
廊下に降ろされてオッタビオがしゃがみ微笑んで訊いてきた。
「いい…いらない。それより、ベルを…」
「少しベルフェゴールと話があるので、お部屋でお待ちください。お飲み物を運びますから」
「………」
キッチンに繋がる扉に目をやってから紅奈は黙って廊下を歩き出す。
オッタビオがいなくなったのを見てから、足の裏を見た。
どす黒い色。触れると赤が指先についた。
血だ。
紅奈とベルが足を滑らせたのは血。
キッチンに血溜まりがあった。
恐らく容疑者Bのだろう。
容疑者Bが殺られたということだ。
舌打ちが廊下に響いた。
「なぁ!!紅奈ぁ!…っ!紅奈っ、ちょっ…八つ当たりやめろよっ!」
紅奈の蹴りを食らい、ベルは飛ばされ転がる。
「はぁ?八つ当たり?違うだろ、これは手合わせだ」
確かに手合わせではあるが、明らかに紅奈は怒りをぶつけていた。
ボコボコにされているベルは面白くない。
「う゛お゛ぉおいっ!?どうなったんだ!?」
マーモンに道場に来いと言われてきたスクアーロ達はその光景を見て困惑した。
「ルッスー、レヴィ。無事だったか、良かった」
振り返った紅奈は無事だった二人に笑みを向ける。
なんでオレは怒りを向けられたのに、あのカマ野郎に笑みが向けられるんだ。
とベルは不機嫌になる。
「爆弾が仕掛けられてて、巻き込まれたのよー」
「無事で良かった」
「容疑者Bはどうしたぁ!?」
「彼なら消されたよ」
「なに!?」
「スク。相手しろ」
紅奈は剣を手にしてスクアーロを呼ぶ。
ベルとバトンタッチ。
不機嫌な紅奈の相手は骨が折れるとスクアーロが一番知っている。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]