空色少女 再始動編
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XANXUSの銃を分解して暇を潰していれば、同じく暇になってナイフを磨くベルが紅奈を呼んだ。
「守護者の話なんだけど」
「うん?」
「さっきはっきり言わなかったけど……オレら紅奈の守護者に選ばれたってこと?」
ベルが訊いたのは守護者のこと。
紅奈は顔を上げた。
「…たしか……選ぶのは9代目とあたしの父親だったはずだ。元ボスと門外顧問が相応しい奴に渡す…ってことだったと思う」
「じゃあ選ばれたわけじゃないってこと?」
「んー、どちらにせよ、あたしの周りに守護者として相応しいのはベル達しかいないから、選ばれたようなものだと思う」
落胆した様子だったが途端に喜んで身を乗り出すベル。
分かりやすい反応。
「顔すら知らない奴があたしの守護者になるはずないからね。ボンゴレファミリーで接触あるのはベル達くらいだから必然」
予想するのは容易くないが、行動を起こせば恐らくベル達が紅奈の守護者に選ばれるだろう。
「オレ、ボンゴレリングよく知らねーんだけど」
「んーと…ボンゴレリングってのは初代ボスとその守護者を空と天候になぞらえたリング。初代ボスは全てに染まりつつ全てを飲み込み抱擁する、大空のようだったと言われていたから故にリングは“大空のリング”。んで守護者となる部下達は大空を染め上げる天候になぞらえられる」
「オレは?オレはなに?」
「ベルなら荒々しく吹き荒れる疾風“嵐のリング”だな。えーと…たしか嵐の守護者の使命は…常に攻撃の核となり休むことのない怒濤の嵐だ」
XANXUSから教わったことをなんとか思い出して紅奈はるんるんとはしゃいだ様子のベルに答えてやった。
「怒濤の嵐……うししし」
よっぽど嬉しかったのかな。
ベルの様子を紅奈はしみじみ眺めた。
「じゃあ僕は実体のつかめぬ幻影“霧のリング”だね」
「………それはどうかな」
「なんでっ!?」
マーモンに意味ありげなことを洩らす紅奈にマーモンはショックを受ける。
「僕以外に相応しい奴いないだろ!?」
「………それはどうかな」
「ムギャ!?」
正直、骸の方がいいと紅奈は考えた。
でもまぁ、今現在の実力だとマーモンがいいだろうし、骸を守護者に選ばなくてもいいだろう。
マーモンも守護者になりたいご様子だ。
「ジョークだよ」と笑ってみせてから、銃の組み立てを続けた。
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