空色少女 再始動編
343
「今は9代目とあたしの父親が半分ずつにわけて保管しているあのリングが必要だが、勿論盗むなんてことをしたら今度こそ追放されかねないしそもそも盗むなんて不可能」
それはわかっている。
あの二人から盗めるわけがない。
「オレ達が……そのリングをもらうためかぁ」
「そうゆうこと」
ボンゴレリングは次期10代目の証。
それを手にするために表舞台にド派手に登場しなくてはならない。
そして六人の守護者も必要で、クーデターの前科があるスクアーロ達が選ばれるには汚名を返上しなくてはならないのだ。
ボンゴレリングを手に入れなくては、XANXUSを救い出せない。
「肝心なのは、ド派手なデビューを飾るための潰す相手だね」
「そんで前科を返上できるかどうか」
マーモンとベルが漏らす。
ちゃんと呑み込めたらしい。
「そう。相手が大物であるほどいいし、こっちが正義になるほどいい。だから全員、チャンスを見逃すな。今回の件が大物であるとは限らないが今後」
「う゛お゛ぉおいっ!!もうわかったぞぉ!!」
スクアーロが漸く騒ぎだす。
全部言わなくとも全員理解したようだ。
全員の顔を見て意志を確認した紅奈は立ち上がる。
「チャンスをものにするまで全員実力をあげる。…早速、この件を潰しにかかろうか?野郎ども」
タイムリミットは17時間。
「履歴書見る限り、胡散臭さはないけど……とりあえずコイツは今キッチンにいるんだな?」
「ああ、彼はいたよ」
「先ずはコイツの自宅でも調べるか」
「何故捕まえて吐かせない?」
「容疑者は二人だ。もし背後に真犯人がいるならば、片方に異変があったと気付かれちゃ…」
パチン、と紅奈は指を鳴らす。
ドロンと消えられては困る。
ここは慎重に動くべきだとしっかり伝えた。
「ルッスーリアとレヴィ、コイツの自宅を調べろ。スクアーロはオレンジジュースをすり替えた奴の行方を。ベルとマーモンとあたしはコイツをここで見張る」
「う゛お゛ぉおいっ!オレが紅奈と残る。マーモンがいけぇ」
「僕とベルが適任だと思うよ。一番守備に向いてるだろ」
こんな時でもスクアーロの過保護が出た。
マーモンの幻覚での守備とベルのナイフとワイヤーでの反撃なら問題ないだろう。
それにルッスーリアやレヴィ達のように年齢が上の方がいい。
十歳以下と十歳以上に分かれるわけだ。
紅奈の指定で動くのがベストだと思い知り、スクアーロは引き下がる。
「ルッスー。これ外部に拾われる可能性がある?」
「大丈夫よん、この七つの通信機だけに繋がるから通信内容は外部に漏れないわ」
ルッスーリアに確認してから通信機を配った。
「何かわかれば連絡、行動を起こす前にも連絡な。一時間以内に連絡を寄越せ」
「了解、ボス」
「了解だぜぇ、ボス」
「…御意」
通信機をつけて準備ができた三人はそれぞれ返事をして行こうとしたが、紅奈は呼び止める。
「こんなとこでくたばるんじゃねーぞ」
「…んなへましねーぞ!う゛お゛ぉおいっ!」
ぶっきらぼうに死ぬなと命令した。
スクアーロ達はその命令を受け取り、今度こそ部屋を出て行った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]