空色少女 再始動編
282
「──────キングッ!!!」
いてもたってもいられなくなったベルが紅奈に抱き付く。
気安くボスに抱き付くな、そうスクアーロが言うよりも前にそこに苦しそうな呻く悲鳴が聴こえてきた。
それは紅奈とベルの足元から聴こえた。
見てみれば、ディーノ。
紅奈はずっと気絶したディーノの上に立っていたのだ。
そこにベルまで乗ってきてディーノは、危うく同盟ファミリーに息の根を止められるところだった。
「完全に気を失ってるな」
「ほっとこうぜ」
「これ貸しにすりゃあ役に立つっしょ、同盟だし。とりあえずスクアーロ、運べ」
完全に白目を向いているディーノを蟻を観察するように見てから、早速紅奈からのご命令。
ディーノを運べるのはスクアーロしかいない。
「コイツ、お前がボス候補だって知ってんのか?」
「さぁ?あたしは話してないけど」
9代目と親しいリボーンから聞いていれば、知っているかもしれないが定かではない。
「これからどうすんだぁ?家光はXANXUSの件を知っていると理解してる……マフィアのボスになるために動いてると開き直るのか?最近猫かぶってねーみてーだが」
「んー、本性さらしたからなぁ…また猫かぶるつもりはないし……開き直るかな。そうすればこそこそスク達に稽古つけてもらえる」
猫被った相手に素顔を晒した。というかぶちまけた。
今更猫被るなんてめんどくさい。
正直もう嫌だ。
稽古、と聞いてスクアーロは押さえきれず笑みをつり上げた。
「公表したらさ、紅奈。多分、綱吉と引き離されるんじゃね?」
つんつん、と気絶したディーノの腹をつつくベルが言い出す。
「お父さんはマフィアだって隠してんだろ?紅奈が知ってもお母さんに話すつもりはないはず。資格がある以上ボスになることに反対はできないだろうけど、お母さんに知られないように紅奈はイタリアとかのマフィア学校に移されるんじゃね?まだ知らないお母さんと綱吉に隠し通すため。ボスになろうとするならばマフィアの学校に通わせた方がいいしね」
「………確かに。うん。じゃあ今まで通り非公開ってことで」
ベルの冷静な分析のおかげでまたこそこそするはめになったスクアーロは落胆する。
紅奈は綱吉と離れるつもりは更々ないのだ。
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