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空色少女 再始動編
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客室に置いてある荷物から着替えを取り出して着る。


「本気なのかい?」


マーモンが出てきた。
どうやらリボーンとの話を聞いていたらしい。


「お詫びとしてちょっと出掛けてくる、スクアーロに伝えといて。貴方のことは言わないから安心して」

「なんでアイツなんかと出掛けるのさ!」

「だからお詫びに遊びに連れてってもらうんだって」

「僕はアイツが気に食わないんだ!」

「あたしだって気に食わない」

「!、じゃあなんで」


着替え終えた紅奈はしゃがんでマーモンと視線をなるべくあわせた。


「同盟ボスが気に入らないからって簡単に破棄できないでしょ?利用できるものは利用するだけ」


つん、とマーモンのもっちりとした頬をつついて笑ってみせる。


「今回だけだから。いってくる」

「……いってらしゃい、お嬢」


先に部屋を出た紅奈はくるりと振り返った。


「マーモン、あたしのことお嬢って呼ぶことにしたの?」

「…だめなのかい?君のこと、ボスと呼べないし呼んじゃだめだろ。ならお嬢が妥当だと思ったんだけど」

「いえ。いいわよ」


紅奈はあっさり切り上げて、一人廊下を歩いていく。


「………きっとスクアーロは怒るだろうな。さっきのシーンを見せれば落ち着くかな」


マーモンはマントの下からビデオカメラを取り出した。
再生するのはXANXUSの寝室にいる紅奈とスクアーロ。

紅奈のキスに顔を真っ赤にするスクアーロがばっちり捉えられていた。










「紅奈!本当にごめん!悪かった!」

「何度言えばいいの、うざい

「なっ!!」


ひたすら謝るディーノに痺れを切らして吐き捨てる紅奈。
運転席のロマーリオは吹き出す。


「それより、早く行かないとスクアーロが来ちゃう。貴方のこと、ぶった切ってやるって怒ってた」

「!!、ロマーリオ!早く車出せ!」


屋敷の外でディーノはスクアーロを警戒して車の中で待っていたのだ。

紅奈も乗ったため車を発進させる。


「ロマーリオさん。運転、ありがとうございます」

「いやいや、お礼をいうことじゃないですよ」


紅奈は運転するロマーリオに話し掛けた。

自分のことをどれくらい知っているかを確かめるためだ。
しかしその短い言葉だけでは、判断のしようがない。


家光の子供だと言うことまではわかっているはず。

10代目候補だということは知っているのか?

だからこその接触かもしれない。


リボーンはディーノの家庭教師。
未来の同盟ボスとの交流目当てでこうやって連れ出したかもしれない。


(いや、それは考えすぎかな…)


例え紅奈が十代目候補だと知っていても、紅奈は有力候補には入っていない。
他の十代目候補者は歳も実力も上。

紅奈がなるとは大半が思っていないだろう。


だからこれは、多分純粋なお詫び。




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