空色少女 再始動編
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「あっはー」
「っ!う゛お゛い、髪放せ!」
なんとか脱出したスクアーロは紅奈を背負い、部屋に向かっていた。
「痛ぇっ!引っ張んな!チッ、お前の部屋は何処だ…?」
「ザンザスの部屋!」
「そこはやめろう゛お゛っ!」
XANXUSの部屋にはまだ銃があるかもしれない。
酔っている紅奈を銃のある部屋に一人にしてはおけない。
のだが、紅奈が髪を引っ張りXANXUSの部屋に行けと言う。
「ほら、よっ…って放せって!」
XANXUSの部屋につき紅奈をベッドに降ろそうとしたが、紅奈が結んだ髪を掴んだまま。
引き剥がすのに苦労した。
「んーぅ…」
眠気に襲われているのか、紅奈はぼんやりとしている。
白いシーツの上で、寝転がる。
このまま眠ってくれればいいが…。
銃を探して取り上げないと。
スクアーロは下ろしていた腰をあげて部屋を漁ろうとしたが、その前に腕を掴まれた。
紅奈だ。
「なんだ?眠いだろ、寝ろよ。あ、待て、水飲んでから…」
白い掛け布団を紅奈にかけた。
それでも紅奈は腕を放そうとしない。
「スクアーロ…」
横たわったまま紅奈は静かに呼ぶ。
「あのね、スクアーロ…」
「あ…?」
「まだ話してなかったこと…が…ある……あたしの…本音」
囁くような声。
本音?一体なんの話かとスクアーロは首を傾げた。
「あの日。嘘だと言い聞かせた。違うと思い続けた。あれはただの夢だと…」
伏せた目が潤んだように見えた。
「不安にかられながらもあたしは…信じたかった……嘘だと言ってほしくて…本邸の中、叫んで…叫んで…叫んだ……」
「……紅奈…!」
「…すぐに……会いたかった……」
漸く紅奈が何を話しているかを理解してスクアーロは紅奈を掴む。
「紅奈!なにをっ」
酔っているせいでおかしなことを言い出したと思い、やめさせようとした。
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