空色少女 再始動編
323
「スク!デザート!」
両手でコップを包み、ニコッと紅奈は笑いかける。
ズキューン。
「……う゛お゛ぉおい!デザート持ってこい!!」
込み上がるものをスクアーロは抑え、キッチンに向かって怒鳴った。
「ベル、君やけに静かだね」
「は?オレはフツーだし。それよりさー紅奈が飲んでんの………さっきのオレンジジュースだぜ」
「!?、紅奈待て!」
マーモンがずっと頬杖ついて紅奈を見ているベルに問えば、ベルは紅奈のコップを指差した。
慌ててスクアーロは紅奈のコップを取り上げる。もう半分飲んでいた。
「だからっ誰は犯人だぁああああああっ!!!?」
「ベルも飲んだ?」
「んまっ!ベルちゃんも酔ってるの?」
「オレは酔ってねーし」
そう否定するベルの頬もほんのり赤い。
スクアーロは犯人を見付けようと睨み付ける。
しかし犯人らしい人物は見当たらない。
シェフがデザートを持ってきた。
まさかこいつらじゃないだろうな。
とスクアーロはガン飛ばす。
いや、紅奈は二杯目から盛られていた。誰かが食事中にウィスキーを入れたはず。
ならばこの場にいる誰かが犯人だ。
「スク、あーん」
「!!………なっ!?」
「しし!王子にあーん」
「てめっ」
紅奈がフルーツにフォークをさして、スクアーロの口元に運ぶ。
にこやかに微笑んで食べさせようとするから、スクアーロは恥ずかしく思いつつもそれを食べようとした。
そこにベルがナイフを投げ付けてきたため、スクアーロは避けてベルはおねだり。
スクアーロの代わりにベルがフルーツをパクリと食べた。
「子供二人が酔ってるね」
「犯罪ね」
「きゃはは、マフィアが犯罪を気にするなんて!」
テーブルの上の紅奈はケタケタと笑う。
オレは酔ってねーよ、とベルはマーモンを蹴り落とそうとしたが、マーモンはサッと避けた。
「ねぇ、ねぇ、ねぇ」
「なんだ、紅奈…」
「えへー」
この酔った子供達をどうすればいいか考えていれば、スクアーロの服を紅奈に引かれる。
顔を向けると紅奈は無防備な笑みを向けた。
(えへって…なんだぁああっ!!)
どうしようもなく可愛い。
スクアーロは必死に堪えた。
悪意も悪巧みもない笑顔が溢れまくりだ。
ただいまもれなく紅奈の純粋な笑顔が見放題。
「紅奈ぁ、あーん」
「あーん」
ベルもテーブルの上に座り、紅奈にべったり。
いちゃいちゃと紅奈とベルはフルーツを食べ合う。
「なにこの二人…ラブラブ…」
「ちょ、いいのかい?スクアーロ」
「…よくあるかぁああ!!離れろ!」
バッと紅奈とベルを引き剥がす。
「なにすんだよっ!!」
「っ!!」
ベルは怒り、ナイフを放り投げた。
酔っ払いのくせに狙いは的確。
スクアーロは紅奈を抱えて避けた。
スクアーロを仕留めようとベルはナイフを投げ続ける。
紅奈を抱えたままスクアーロは転がり避けた。
巻き添えを食わないようにルッスーリア達は離れる。
「う゛お゛ぉおい!やめろ!紅奈に当たったらどうする!」
「紅奈を放せばいいだろ!」
「にゃははははっ」
「んまぁ!ベルちゃん!やめなさいって!」
「やめなよ」
ガシャン。
ベルがスクアーロを追いテーブルを駆けるため、料理や皿を落としていく。
辺りはめちゃくちゃとなった。
ナイフを投げつけられようとも紅奈は終始ご機嫌に笑っていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]