空色少女 再始動編
322
「お前気付かなかったのか!?何杯飲んだ!?」
「んーぅ……ベスタに首輪をつけたあとに…味変わったと思った」
「気付いたなら飲むな!!」
「…ム。オレンジジュースにウィスキーが入ってるよ」
「犯人は誰だああああああぁああっ!!!!!」
オレンジジュースを入れた硝子の容器にウィスキーが混入されていることにマーモンは気付いて報告。
血管を今にも破裂させそうなスクアーロの声が轟く。
オレンジジュースを注文したのは紅奈だ。
明らかに紅奈を狙った犯行。
「てめえか!?レヴィ!!」
「違うぞ!オレはやってない!」
「レヴィは近寄ってなかったじゃん。良いじゃん、飲んじゃったんだし。毒じゃなかったし。だからもういっぱ」
「駄目だっつってんだろう゛お゛ぉおい!!!つか毒同然だ!ただでさえ身長気にしてんのに成長ストップするぞう゛お゛」
スクアーロの怒鳴り声が不意に途切れる。
銃声が轟いたからだ。
紅奈が飲まないよう取り上げたオレンジジュースの入った硝子の容器は弾丸が貫通して粉々になった。
紅奈の握る銃が、煙を吹く。
「もっかい、言って。聴こえなかった」
にこり、紅奈は無邪気な笑みを向けた。
先程とは違い、その場は凍り付く。
「……紅奈…その銃…どうした…?」
「ん、ザンザスのベッド」
「そ…そうか………。とりあえず寄越せ…な?」
スクアーロは慎重に手を伸ばす。
相手は銃を持つ紅奈。
少なくともウィスキー入りオレンジジュースを三杯飲んでいる紅奈はただいま絶賛酔っ払い中だ。
「やだ。あたしもらう」
「必ず返すから…今は!オレに預けろ…な?」
「やっ!」
つんっ、と紅奈はそっぽを向く。
「お嬢!ほらもう一杯欲しいんだろ?銃と交換だよ!」
「んー、うんっ」
マーモンが咄嗟にベルのコップを掴み、紅奈に差し出す。
紅奈はすぐに銃をマーモンに渡してコップを受け取り、また無邪気な笑みを溢した。
酔っ払いから銃を奪還してホッと安堵して、そしてキュンとする。
完全に無防備な紅奈がニコニコ笑顔を晒しているのだ。
気分が良くて口元を緩ませ、頬を赤らめたまま眠そうに細めた目で見上げてくる。
悪戯な笑みでも偽りの笑みでもない。
純真で天真爛漫の笑顔。
くり、と首を傾げる仕草。
一々可愛らしい女の子らしい仕草。
「もうっ!抱き締めてあげたいっ!!」
「抱き締めてんじゃねぇかう゛お゛ぉおい!!」
母性本能が擽られたのか、ルッスーリアが紅奈を抱き締める。スパーン、とスクアーロが頭を叩いた。
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