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空色少女 再始動編
321 お酒



「えへっ」

「……………………………紅奈?」


スクアーロは触れることを躊躇う。

何故なら紅奈が意味もなく笑いかけないからだ。


えへっ、と洩らしてまでこんな無邪気な笑顔を向けるにはきっと何らかの意図があるはず。


スクアーロは警戒した。


にこ、と紅奈が笑う。


「…紅奈?何がおかしい?」

「んーぅ?べつにー」


紅奈はコップを両手に持ち、ぐびぐびと飲み干した。


「これもっとのみたい、すくー」


甘えた声を出して、紅奈は空のコップをスクアーロに押し出す。


「……紅奈?」


恐る恐るコップを受け取り、紅奈の甘えた声と笑みの意図を考える。

紅奈はなんだか眠そうに目を細めた。


「紅奈…眠いのか?」

「んーん……もういっぱいのむ…」

「物凄く眠そうだぞぉ…?」


それは芝居かどうか、スクアーロは見定めなくてはならない。これは失踪の予兆だ。


…んぅ…ちょーだい


ちょこん、と首を傾げて上目遣いで微笑む紅奈。
頬はほんのり赤く染まっていて、声は可愛らしい猫なで声。


ズキューン、ヴァリアー幹部達は射たれた。


レヴィもその表情に落ちたそうだ。


可愛いいいいいいっ!!!


声がでなかったが、一同は心の中で叫んだ。


「すくー、はやくぅ」


ニコニコと紅奈はテーブルに身を乗り出して急かす。


「え、あっ…ああ…。…ってなに飲んで……」


「おれんじじゅーす」と紅奈は答えたが、コップに鼻を近付けた瞬間に紅奈が何を飲んでいたのかわかった。


う゛お゛ぉおいっ!!!!誰だ紅奈にウィスキーを盛った奴はぁああ!!!!!


オレンジに混ざり微かに香るのは間違いなくアルコール。

紅奈はスクアーロが知る限り、三杯はこれを飲んでいた。
オレンジジュースと混ぜられたといえど、ウィスキー。

そしてこの紅奈の状態。


間違いなく紅奈は酔っている。


「どいつだぁ!?子供に飲ませやがったのは!!?」

「んまぁ!!紅奈ちゃん大丈夫!?」

「大丈夫っ!」

「てめえだな!?ベル!」

「は?オレじゃねーし」

てめえ以外に誰がいるぅうう!!紅奈は病み上がりなんだぞう゛お゛ぉおい!!

「ねー、すくー」

「なんだ!?」

「もういっぱい」

駄目に決まってんだろ!!


スクアーロは叫びまくった。

つんつんと服を引っ張る紅奈にも怒鳴り付ける。いつの間にか紅奈はテーブルの上。




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