空色少女 再始動編
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「お腹空いたな」
「夕飯の時間だね、ダイニングルームに皆いるよ」
「皆?」
「ああ、君が治るのを待っててそこで寝ちゃってるよ」
マーモンを抱えてダイニングルームに行けば、その通りで椅子に座りテーブルに頭を置いてスクアーロ達は眠っていた。
マーモンの話によれば、紅奈が治ったという知らせがくるのをずっとそこで待っていたらしい。
とうとう睡魔に負けて寝てしまったわけだ。
「どうやって起こしてやろうか?」
にや、と紅奈はマーモンに問う。
マーモンは紅奈の悪戯に乗ることにした。
バァアアアアアンッ
耳元でシンバルのような楽器が落ちてきたそんな騒音に、一度は耳を塞いで飛び起きた。
「う゛お゛ぉおいっ!!なんだぁ!?」
「なに!?なんなの!?」
「マーモン…?」
スクアーロもルッスーリアも辺りをキョロキョロ。
先に宙に浮くマーモンに気付いたのはベルだった。
「てめえの仕業か!マーモン!!」
「文句なら紅奈お嬢にいいなよ、僕は彼女に従っただけさ」
「!!」
その名を聞いて直ぐ様三人は紅奈の姿を探す。
一年前まではXANXUSの席だったそこに、紅奈はいた。
「よっ。お腹空いた」
第一声。
スクアーロとルッスーリアはガクリと肩を落とす。
「お腹空いたって…お前…」
「紅奈、もう治ったの?」
「うん。悪い、心配かけて」
駆け寄るベルに笑って言ってからもう一つ、謝ることがあると思い出した。
「スク…任務邪魔して悪かった」
「?、なんの話だ?」
二日前の任務を邪魔したことを謝ったが、スクアーロは首を傾げる。
任務のこと忘れたのか?と思いきや、ベルが耳打ちしてきた。
「オレ達は邪魔してない、任務は成功した」
なんだ。
心配して損した。
「う゛お゛ぉおいっ!なにこそこそ話してやがる!?…まさかなにかやらかしたのか!?」
「いや、ほらさ……あたし、ベルとはぐれちゃったし、集合出来なかったから。邪魔しただろうなぁと思って心配してたんだ。あ、ベルも無事だったんだ、よかった」
誤魔化してからベルを見てみたが、切り傷くらいで大した怪我はなさそうだ。
「うししし!オレがあんな奴らに負けるわけないだろ。だってオレ王子だもん」
にへらと笑い、ベルは紅奈と同じ椅子に捩じ込むように座った。
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