空色少女 再始動編
280
キィイイイッ。
濡れたコンクリートを滑り込むタイヤの音が響く。
黒光りする車が行く手を塞いで停まった。
瞬時に危険を察知したスクアーロとベルは紅奈を背に、車を睨み付ける。
ディーノも構えた。
車から出てきたのは、明らかにマフィアだとわかる男達。
「跳ね馬だな」
「なんだ?お前らは」
「一緒に来てもらおう」
どうやら彼らはディーノの客のようだ。
雰囲気からして同盟ファミリーではなさそう。
「う゛お゛ぉおい。なんだ、貴様の客かぁ。なら関係ねーな」
「おう、行ってていいぜ」
自分達とは関係ないと知り、さっさとディーノを置いて離れようとするスクアーロ。
ディーノも紅奈を巻き込むわけにはいかないため、先に行くよう言うがそれを許さなかったのは紅奈だった。
「同盟ファミリーを見捨てる気か」
「いや……跳ね馬なら一人で大丈夫だろぉ…」
スクアーロの腕を掴み、耳打ちする紅奈。
同盟ファミリーであるディーノを置き去りにするのは問題になる。
だが仮にもディーノはマフィアのボスだ。
手を貸さなくても自分でなんとかする。
紅奈が納得しかけたその時。
ばしんっ。
ディーノが敵に振るったであろう鞭が、何故か紅奈とスクアーロとベルに飛んできた。
完全に油断していたため三人は食らう。
最初に喰らったのはベル。顔面に当たったそれは次に紅奈に顔を近付けていたスクアーロの顔面へ。
スクアーロの顔面を弾いて紅奈の額へ。
しなやかな鞭が強打した。
「っ!!!」
「てめっなにしやがるっ!!!」
「〜っ!!!」
「え、あ、悪いっ!!」
結構なダメージに三人はしゃがみこむ。
ディーノは慌てて謝ってから敵を先に片付けようとまた鞭を振ったが、それは自分の首に絡み付いてそして自ら自分の首を締めて倒れた。
「何やってんのこいつ、殺してい?」
ベルが苛立ちで殺意が沸いてきたらしく、気を失ったディーノをしゃがんだまま睨んだ。
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