空色少女 再始動編
311 待ち合わせ場所
しかし、そこには誰もいない。
一年前と変わらない。
変わっていない。
それでも、待とう。
会わなくてはいけないのだから、待つ。
紅奈は一年前と同じ場所に、腰を降ろした。
「次会った時に話す。あたしが何者なのかを、教えるわ。次会うときは君達を救うときだ、その方が理解が早いはずだから」
「クフフ、約束ですよ?絶対に近いうちに会って、貴女のことを教えてください。紅奈」
「ああ、約束する。骸、犬、千種、また会おう。それまで悪さをするなよ?迎えに来てやるから」
一年前以上、時間がかかってしまった。
約束は果たしているかどうかはわからないけれど、先ず会って話がしたい。
スクアーロ達のように、心を変えられたのなら、救いたい。
ぐだぐだ駆け引きしないであの時話せばよかった。
あたしはボンゴレだ。
あたしの仲間になれ。
そう言えば、よかった。
後悔先に立たず。
あの時こうしていれば、なんていつまでも考えるのはやめよう。
今、解決しないとだめだ。
「僕と君は似た者同士ですから、気が向いた時ここにくればきっと会えます」
会おう。
未来は、あたし達が作る─────────…。
「紅奈」
「……」
どれぐらいの時間が経ったかはわからない。
不意にリボーンは目の前に現れた。
手には湯気が出ている珈琲。
「冷えただろ」
「…ありがと」
またエスプレッソだ。
紅奈は受け取り、両手で持つ。
真冬で冷えきった空気の中、コートだけでは勿論体温が下がっている。
おかげで温まった。
はぁ、と白い息を吐く。
その白い息を目で追えば、建物に挟まれた狭い空を見付けた。
今にも雪を降らせそうだ。
「いつまで待つつもりだ?」
「……雪が、降るまで」
「わかったぞ」
リボーンは車に引き返した。
彼はずっと付き合ってくれるということか。
苦さの中の甘さが、温かい。
紅奈は顔を上げて、また息を吐いた。
「青い空が見たいな…」
何処までも澄んでいて、手を伸ばせば届きそうなそんな色の空。
紅奈は手を伸ばす。
「─────…触れたい」
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