空色少女 再始動編
310 運転指導
エンジンをかけてアクセルを踏みつけると、後ろから声がした。
「安全運転にしろ」
「…なんでいるの」
「こうなると思ったから窓から入ったぞ」
リボーンだ。
後ろの窓が開いている。
野郎、待たないとわかってわざとか。
一度車を止めれば、リボーンのハットに乗っていたカメレオンが運転席に乗った。かと思えばクッションのように膨らんだ。
これをクッション代わりに使えというのだろうか。
というかこの生き物は、一体どんな構造なんだ。
「あのさ…クッションにしていいの?」
「ああ、レオンは大丈夫だ」
リボーンはフロントに腰掛けて、紅奈はレオンクッションに座る。
視界が高くなってフロントガラスの向こうがよく見えた。
「規制スピードを保って運転しろ。先ずはエンジンをかける」
「………運転指導しながら行くの?」
「嫌なら部屋に戻るぞ」
折角のチャンスだ。
逃すわけにはいかない。
リボーンの指導のもと、二時間運転して目的の街に向かった。
「今更だけど、いいの?ディーノにも言わず来ちゃって」
「オレと消えたなら心配しないから、気にしなくていいぞ」
車を降りたところで意味もなく訊いてみる。さらりとリボーンこそ気にしない口振り。
車を降りたリボーンは車のボンネットに腰を降ろした。
それは待っている、という意味のようだ。
お言葉に甘えて紅奈は一人、約束の場所に向かって歩いた。
車はその場所の近くに置いておいたから、前回同様リボーンが見守っている。
(…見守っている、か。お節介)
ちょっとリボーンを鬱陶しく思いつつも、期待を膨らませて早歩きでそこに駆けた。
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