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空色少女 再始動編
309 綺麗な瞳




「ところでなんであたしだってわかったの?」

「ん?」


紅奈を見つめていたリボーンは問われてカップを置く。


「ディーノは気付かなかったし、貴方とは喋ってなかったじゃない」

「簡単だぞ。目だ」


目?
と紅奈は首を傾げた。


「お前の瞳は印象的なんだ。どこまでも澄んでて綺麗だからな。目があった瞬間にわかったぞ」


リボーンはニッと口元をつり上げて言う。
確かにリボーンが入ってきた瞬間に目を合わせた。それだけでバレたのか。


「どんなに化粧で顔の印象を変えても目の印象は変わらねぇからな」

「ふーん……」


目が印象的。
特に思ったことはなかった。


なら、貴方の目もそうね


カップを片付けようとしたリボーンは紅奈を振り返る。


貴方も印象的な黒い瞳をしてる、綺麗


真っ黒な少女がそう言う。
誉め返された。


「………そうか」


リボーンはハットを深く被り、カップを片付けに向かった。


「オレを照れさせるとは…なかなかいい女だな」


一人歩く廊下でポツリと呟く。










また一人になって紅奈は周りを見回した。

窓から見えたイタリアの街。

見知らぬ街だ。

当然か。


骸との待ち合わせ場所の街から近いだろうか。


(あ、今行かないと…)


スクアーロはかんかんでもしかしたら行かせてもらえないかもしれない。

家光の耳に届いていたら尚更だ。


「…………行くか」


窓を開けて下に車を見つけた紅奈は、行くことに決めた。





パタン。


「何処行くんだ?」


まるで幽霊のように、リボーンは乗り込んだ車の助手席に現れた。


くっ。コイツから逃げるのは不可能か。

何処と言われても、あの街の名前は知らない。


「…名の知らない街」


運転席に座ったまま紅奈はそれだけ答える。


「あの場所か」


リボーンがそう言うから顔を上げた。
そうか、リボーンはあの場所を知っている。


「行きたいのか?」


助手席からリボーンが見上げて訊く。


行きたいといえば、道を教えてくれるのだろうか。


紅奈は静かに頷いた。


「そうか、オレがナビになってやる。ちょっと待ってろ。クッションを持ってきてやる」


リボーンは一度車を降りる。


リボーンがカーナビをなるのか。

そして紅奈が運転する。


つまりは許可が出たと言うわけで、発車。





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