空色少女 再始動編
307
イタリアにいるとろくなことがない。
来る度なにかしらトラブルが起きるのだ。
もしかしたらイタリアに嫌われているかもしれない。
あたしは好きなのにな。
なんて現実逃避しながら紅奈は窓の外を眺めた。
「本当に大丈夫か!?痛くないか!?」
「本当に大丈夫」
何度も何度もしつこく問い詰めるディーノに呟くように答える。
大丈夫だ。
そう車から降りてきた同盟ファミリーのボス・ディーノに言ったが、轢いたことに罪悪感が沸いて放って置けなかったらしく。
紅奈は誘拐された。
幸い追手から無事逃げられたが、更に集合場所から離れてしまい、ディーノの家に連れていかれたのだ。
スクアーロは血眼に捜しているだろうなぁ。
帰ったらあの声で怒鳴られるんだろうなぁ。
ベルとかあたしのせいで怪我してないといいが…。
「そのコートはヴァリアーの制服だな」
部屋に入ってきたのは、ディーノの家庭教師・リボーン。
「ああ、多分任務だったんだろ?復活したって聞いた」
「…スクアーロに連絡…」
「!、そうか!スクアーロと任務中だったのか!はぐれたんだな!?安心しろ、スクアーロにはオレから説明してやる!友達だからな!」
ディーノは。
微塵も紅奈に気付いていなかった。
部屋の隅で渡されたタオルにくるまう紅奈は黒髪でメイク。身長もブーツで誤魔化している。
なかなかの変装だとは思っていたが、言葉を交わしても気付かないとは。
ディーノには呆れるばかりだ。
「あたしのこと、捜し回ってるかも」
「そうか!じゃあスクアーロにオレんちにいるって知らせてくる!行くぞ、ロマーリオ!」
いや、あたしをここに置く意味が。
ディーノはロマーリオを連れて部屋を出ていってしまった。どうやらスクアーロを捜しに行ったようだ。
紅奈はリボーンと部屋に置き去りにされた。
なんでコイツと二人きりにされなきゃならないんだ。
リボーンなら正体に気付くだろうからあまり喋らない方がいい。
目も合わせないようにしよう。
「公表したらさ、紅奈。多分、綱吉と引き離されるんじゃね?」
ベルの言葉が過り、紅奈は十分に注意しようと誓う。
それにしても任務はどうなったんだろう。
失敗したか?
ボス不在のヴァリアーをスクアーロとオッタピオが仕切ることになり、スクアーロは張り切っていた。
情状酌量でスクアーロ達に回る任務は著しく減っただろう。
それなのにヴァリアーを潰してしまったなんて…。
本当にごめんな。スクアーロ。
大丈夫。
十代目に就任したら復活させてやんよ。
「紅奈、ミルクは好きか?」
「好きじゃない」
「そうか、わかった」
リボーンはそれだけを聞いて、部屋をあとにした。
「………」
あ れ ?
紅奈は閉められた扉を見つめた。
今確実にリボーンは自分の名前を呼んだ。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]