空色少女 再始動編
306
「くそ……やっちまったな」
森の中、追っ手を振り切った紅奈は息を整えて周りを注意深く警戒する。
一人だ。
なんとか暴走気味のベルを引き摺って壁を越えれば、屋敷の人間が来た。
望んでいた戦闘だったが、任務妨害した上に集合時間が迫っている。
さっさと撒いて行こうとしたが、ベルが突っ走り戦闘開始。
手に終えなくなった。
あちらこちらで戦闘する音がして、真冬の森の静寂はぶち壊された。
自分の身を守りながらベルを追い掛けたが、やがて見失いはぐれる。
(やべー。あの状態のベルを…大丈夫かな…)
あの暴走での戦いをみる限りやられはしないとは思うが、万が一を考えると心配だ。
「というかここどこだ」
ベルとはぐれた上に、迷子。
ベルを追ううちに帰り道を見失い、集合場所がわからなくなった。
(こう言うとき、スクの声が役に立つんだよな…)
苛つくこともあるがスクアーロの大声はこうゆう時、居場所を見付けやすくて助かる。だが今は離れすぎているのか聴こえてこない。
紅奈は目を閉じて耳をすました。
ズル。
「っ!」
どしゃあっ
雪で足を滑らせ、紅奈は崖から滑り落ちた。
頭から落ちたが雪がクッションになり、昨日のスノボーよりは多分ましだ。
「ったー…」
頭を擦り、起き上がる。
───起き上がろうとしたら、気付いた。
咄嗟に紅奈は横に転がる。
銃弾が飛んできた。
追手の発砲だ。
紅奈は離れようと駆け出した。
「!!」
視界が真っ白になった直後に気付く、目の前に車。
ここは道路の真ん中。
ダンッ!
衝突しかけたが紅奈は受け身をとり、車のボンネットに飛び込む。
車が急停車する振動に振り落とされ、コンクリートの上に落ちた。
痛い。
これはなかなか痛い。
「大丈夫かっ!?」
車から誰かが降りる。
顔を上げてその人物を見上げ、紅奈は顔をひきつるのだった。
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