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空色少女 再始動編
303









「隠密機動とか、スクに一番向いてないよな」

「絶対向いてないよな」


隠密にやれよ!とスクアーロが釘をさして任務に向かった。
紅奈とベルは別ルートで屋敷に入ることにする。
ベルの手にはルッスーリアに紅奈を録れと頼まれたビデオカメラ。

現在時刻は午前二時半。
雪が少しだけ積もる森を歩いていく。侵入者対策の罠には注意しろと言われているから、注意しつつ向かった。

五分もせずに到着。


「へぇ。こりゃまたでかい屋敷だな」

「ヴァリアーより一回りちいせーよ」


標的の屋敷に忍び込み完了。


「で?どうやって戦闘させる?」

「なんの話?」

「戦闘したいんだろ?だったら罠にわざと引っ掛かる?」

「任務は邪魔しない約束だ」

「え、まじでただついてきただけ?」


意外と言わんばかりに驚くベルに紅奈は肩を落とす。


「任務の邪魔をしてヴァリアーが完全に消えるのは困る。チャンスがあればと思ってついてきただけ、実践の現場に出るのが目的。勘が戻ってないからな」

「………ふぅん」


答えながら屋敷から見付からないように庭を移動していく。

てっきりぶち壊して遊ぶのかと思っていたベルは感心する。
ちゃんと考えているんだな。

ベルからしたらつまらないのだが…。


そこで物音がして紅奈とベルは屈み、警戒した。

こんな時間に彷徨いている人間がいるのか?

ベルはナイフを握った。
暗い中、草根を掻き分ける音が近付く。


「─────────キャン」


そうして二人の前に現れたのは。


「……犬?」


人間ではなく動物。
拍子抜けしたベルはその生き物を凝視する。暗いからよくわからないが、白っぽい犬のような動物。
首輪のようなものをつけているから放し飼いにされているペットだろう。


マーモンくらいのサイズのその犬に、紅奈はそっと手を伸ばす。

犬は警戒して身構えた。


「紅奈、吠えたらバレちまうぜ」


人殺しは極力しないよう心掛けていたが動物殺るなら紅奈は怒らないだろう。
ベルはナイフを振り上げた。

しかしベルを背にしている紅奈は振り向かず、犬を捕まえる。

犬はキャンキャン騒いだが、紅奈に撫でられすぐ大人しくなった。


「犬じゃない」

「え?」

「─────ホワイトライオン」


やっと振り返った紅奈はなんだか嬉しそうな顔で犬──もといホワイトライオンを抱き締めている。

ホワイトライオンは警戒心がなくなったらしく大人しく紅奈に抱き締められていた。
よくみれば、ライオンの子だ。




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