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空色少女 再始動編
301 死神



去年ベルが使っていたヴァリアーの隊員服。
普通ならYシャツだがベルはYシャツを着ずに私服を着ていたためない。だからベルが赤とオレンジのボーダーも貸した。

ぴったりとは言えないが、暗黒の衣装を着れた紅奈。


「…………これ、必要?」


しかし一つだけ文句言いたい。
紅奈は自分の頭を指差した。

着替え中にルッスーリアに被されたのは、黒のウィッグだ。
内側に跳ねた髪は顔を包み込み、外側はくるりと跳ねた黒のショートヘア。

コートをしめれば完全に真っ黒少女となる。


「流石に紅奈のまんまで参加しちゃまずいっしょ」

「そうだなぁ…万が一のためにもな」

「黒髪も似合うわね♪」

「だったらメイクもした方がいいんじゃない?」


紅奈の黒髪プラス隊員服を吟味するように見ているベル、スクアーロ、ルッスーリア。
そこにマーモンが余計なことを言った。

マーモンは紅奈に睨まれるが、乗り気なベルとルッスーリアが直ぐ様紅奈を囲う。


「しししっ!」


紅奈はメイクもされる羽目になったのだった。


「んまぁ!いいわね!いいわね!マーモンちゃん、カメラは?」


完成してルッスーリアは紅奈を撮る。

遊ばれた紅奈はつーんと唇を突き出してヤンキー座り。

ライナーを引いてつり目を強調し、赤い唇を塗った。
全身黒なため、まるで可愛らしい少女の姿をした死神がぐれているよう。

これなら一目みただけでは紅奈とはバレないだろう。


「ところでベル、このブーツはなに?流石にお前と靴のサイズは合わないでしょ」

「あ、それは紅奈にあげようと買ったやつ」

「へ?」


背丈も誤魔化すためなのか、やけにヒールの高いブーツを履かせられた紅奈は気付いてベルに聞いた。

あたしのために買った?


「時間だ、いくぞ」


スクアーロが急いだため、追及することはできなかった。





そして現在に至る。



紅奈とベルの急な参加にレヴィは猛反発したが一蹴して車で移動中。


タンッ。
バンの中で掌サイズのボールが跳ねる。

紅奈とベルがワンバンさせてから相手に投げるキャッチボールをしていた。


「おい、紅奈。このバンを忘れるなよ、午前三時前には集合しろ。ついてくることは認めてやるが邪魔をするな。ベルと絶対にはぐれるなよ」

「わかったってば、煩いなぁ」

「しし、キングは王子が守ってやるよ」

「自分の身は自分で守るっつーの」


心配性のスクアーロがくどくどと言うから、痺れを切らして紅奈はボールを助手席に座るスクアーロの顔面にぶつける。





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