空色少女 再始動編
501 ポーカーゲームスタート
場所は、娯楽ルーム。
大きなテーブルを囲うのは、ボンゴレボスの9代目ティモッテオ、守護者のコヨーテ、ガナッシュ、ブランバンダー、門外顧問の家光。
そして、XANXUSの膝の上の紅奈だ。
「豪華なメンツだな、ボンゴレの現ボスと守護者の半分、そして門外顧問。幼き次期ボス候補の一人のために。初対面から大物だって思ってたんだ」
ガナッシュは楽し気に、チップが詰まった箱をテーブルに置いた。
「あたしも大物気分。チップを使う本格的なポーカー、経験が浅いから……チップは、少なめでいいかな?」
「ん? いいよ。お嬢ちゃんが決めていいさ。チップの値段は好きに決めていいけど、価値の低さは白から始まってオレンジが一番高いのは、常識だから、それに合わせてくれ」
「わかった。じゃあ……赤、青、緑、オレンジで」
紅奈の指定通り、ガナッシュはその色のチップを取り出す。
「ん…? 守護者のカラーだな? 嵐の赤、雨の青、雷の緑……そして、大空のオレンジ。わざとかい?」
「あら、すごい、ぐーぜん」
コヨーテが嵐の守護者。
ブランバンダーが雨の守護者。
ガナッシュが雷の守護者。
気が付いたガナッシュに、紅奈がわざとらしく笑った。
「ははっ。それは、プリーモから教えてもらったこと?」
「ジョット?」
「ボンゴレに詳しいのは、彼から聞いたのでは? 姫君は、病死したあとのボンゴレを知らないはずだから」
赤いチップを一枚、手にして、紅奈は小首を傾げる。
ああ。ジョットから、ボンゴレのあれこれの情報をもらったと思っているのだ。
原作知識なのだが、それは微塵も話す気はないので、そういうことにしておこう。好都合だ。
「そもそも、前世の記憶って、どうやって思い出すんだ? 別の人生の記憶があるって、どんな感じ? 混乱のあまり頭ぐっちゃぐちゃだ。他言しないから、オレの頭の整理のためにも教えてくれよ」
興味津々で根掘り葉掘りと質問したいらしいガナッシュ。
「おい…」と、コヨーテが咎める眼差しを向ける。
紅奈は、ティモッテオに目を合わせた。
自分が聞いたことは、ティモッテオは話していないようだ。家光も同じだ。
今後、他言する気はないだろう。
「気が向いたら、質問に答えるよ。ポーカー、しよう」
「楽しい時間になりそうだ。で? 赤は、いくらにするんだ?」
ワクワクした顔のガナッシュに、紅奈は赤いチップを突き付けた。
「700ユーロ」
ガナッシュは、赤いチップの向こう側で、少女の微笑みを目にする。
一同は、目を見開いた。
「……一番、低いチップを700ユーロ? あれ? 紅奈ちゃん? いくらか……理解、してる? よね?」
「うん。日本円で、約10万円」
「ん? んん?」
当然、理解しての指定。目が点になる。
「…小遣い稼ぎ……って言ったよな? 紅奈ちゃん?」
「うん? 低い?」
「逆だけど!? 金銭感覚は大丈夫!?」
びっくり仰天したガナッシュのツッコミ。
家光に、注目が集まった。
家光のびっくり顔を見る限り、普段のお小遣いは桁が違うのだろう。
「何? この豪華メンバーで、7ユーロから始めるの? しょぼいよー」
「いやでも……勝負するためのチップは、先に本当のお金で買ってもらわないと。紅奈ちゃんは、それで買えるのかい?」
「XANXUSお兄ちゃん。出してくれるよね?」
「…ボロ負けすんなよ」
1000円からのチップでは、不十分だ。
高いチップを買わせるのは、XANXUS。
XANXUSは、あっさりと紅奈のためにお金を出すことを承諾。
高額の賭けポーカーになるのは、待ったなしのようだ。
「コウ! もう少し、もう少しだけ下げようか!?」
せめて、下げてほしい。一番低いチップの値段を下げてくれ。
決定権は、すでに紅奈に渡すと言ってしまったので、そうやって頼むしかない。
「70ユーロならいい?」
「そ、そうだな……次は、5ユーロアップくらいに…」
「青は、350ユーロ。緑は、700ユーロ。オレンジは、7000ユーロ」
「コー!!」
「上がり方が、えげつないな!?」
「……日本円にすると、ちょうどいいよね?」
「そういう問題じゃないぞ!?」
70ユーロは、1万円。
そうなると、350ユーロは、5万円。700ユーロは、10万円。7000ユーロは、100万円。
「グダグダ言ってんじゃねーよ。はした金だろーが。さっさと、それで始めろ」
XANXUSが、イラついたように急かす。
「坊ちゃんは、参加しないくせに…」
「オレは、ここで見物だ。ボンゴレの現トップどもが、次期ボス候補に金を巻き上げられるところを、楽しんで見てやるさ」
堂々とふんぞり返るXANXUS。
ただし、紅奈を膝の上に乗せたままだ。
その事実に、ガナッシュはまたお腹を抱えて笑いそうになる。
「お前はいい加減、娘を下ろせ…!」と、家光は殺気立つ。
XANXUSも紅奈も、聞こえないという態度だ。
「始めようか」
結局のところ、ティモッテオの決定が全て。
楽し気に笑っているものだから、一同は反対が出来ない。
始めるしかないのだ。
ディーラーを務めるのは、この屋敷の管理人の女性。流石にこのメンバーの賭けポーカーのディーラー役は、緊張しているご様子。
それでも、ゲームは開始。
購入したチップを賭けてのポーカーゲーム開始。
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