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空色少女 再始動編
299




言い出したのは自分だ。

だからって何故こうなるんだ。



少しテンションが下がった紅奈は、移動中の真っ黒の車の窓を見つめた。
鏡のように紅奈を映し出したそれは、黒髪の少女を映す。







一時間前。


は!?任務に参加だと!?できるわけないだろ!

「参加じゃなくて連れてって」

同じじゃねぇか!だめだ!

「任務の邪魔はしない、ほらあたしスノボーでも実践で上手くなったし、実戦に立ちたいなぁって」


スクアーロは大反対。

イタリアを選んだのも宿泊先をヴァリアー本邸に選んだのも、全てはスクアーロ達に稽古をしてもらうため。


「お前が怪我したらオレが怒られるんだぞ!」

「大丈夫、自分の身は守る」


奈々に任されたのだ。
これでボスに怪我を負わせるなんて部下失格だ!
そしてもれなく家光に殺されかねない!
(スノボーと同じく)


お前が思ってる戦闘はない!暗殺だ!屋敷に乗り込んで殺って去るだけだ!

「屋敷の人間にバレれば戦闘あるんだね」

邪魔する気満々じゃねぇかぁあう゛お゛ぉいっ!!!

「まーまー、スクアーロ。紅奈ちゃんがついてきても成功率は下がらないわよ」

下がる!下がるぞ確実にっ!!

「失礼だなぁ、足引っ張んないのにね。ねー?」

「ねー?」

「ねー?じゃねぇぞう゛お゛ぉいっ!万が一何かあったらまずいだろうが!今度こそイタリアに来れないだけじゃない!オレ達も会いに行けなくなる!

「どこまで信用ねぇんだよ…。だから自分の身を守るだけだって言ってんじゃん、他はしないから連れてってば」

だめだっつーの!!

「お願いー」

だめだ!

「スクー」

だめ!!

連れてけつってんだよ


上目遣いで頼み込んだがスクアーロは頑なに首を横に振るう。

ルッスーリアは軽く考えるため賛成したが、ルッスーリアはわかっていないんだ。


軽はずみな行動は良くない。
紅奈は幾度も気まぐれな行動を起こしたり、予想外なトラブルに巻き込まれる。

何が起きるかわかりゃしないんだ。

特にイタリア滞在中は。


紅奈がにこにこしていた故に、強く断っていたスクアーロだった。

しかし決めたことは譲らない紅奈は痺れを切らして、睨み付ける。


天使から悪魔へと豹変した紅奈の顔を目撃したスクアーロとルッスーリアは青ざめて震え上がった。


「わ…わかった……」


結局スクアーロが折れる。


「紅奈がいくならオレもいく」


ベルが言い出す。


「綱吉はどうすんだぁ!?」


ベルまで任務に出ると綱吉が一人置き去りになる。

綱吉はお風呂を上がって即ベッドに入り、疲れで爆睡中。
もちろん任務に紅奈は綱吉をつれていかないはずだ。


   く る り っ。

紅奈は唯一屋敷に残るマーモンを振り返った。


「マーモン、綱吉を見ててもらえるかな?」

「も、もちろんさ!どうせ僕も寝るからね!タダで引き受けてあげるよ!!」


にこり、と微笑んで頼む紅奈にマーモンはビクリと震えた。

紅奈の後ろにいてマーモンは見なかったが、スクアーロとルッスーリアの反応でわかる。

天使のうちに紅奈の頼みを引き受けた方が身のためだ。






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