空色少女 再始動編
493 これからの会議
ボンゴレが所有し、XANXUSを軟禁している屋敷。
紅奈は渡されていた携帯電話に、家光と9代目ティモッテオとXANXUSと自分の四人の食事をしないかと連絡を入れた。
現在、多忙な二人ではあるが、どうせすっ飛んでくるに違いない。そう紅奈は、確信していたりする。
そんな紅奈は、スクアーロと一緒に、滞在部屋の一つに足を踏み入れた。
「キングー。おっせぇーよ。ヒーマー。めっちゃ、ヒマ。ボスは、ヘーキなんでしょ? もうここ出ようぜ」
ソファーに、だらんっと横たわっているベルが、ブーツをユラユラと揺らしながら、文句を零す。
「帰国するってば。明日」
「その前に、今後の予定を立てましょう。紅奈」
深く椅子に座って背凭れに身を預けた骸は、微笑んで促す。
向かい側の椅子に紅奈は、ぽすんっと座った。
「そうねー。今回の手柄で、あたしの10代目候補だって言う事実は、ボンゴレ内でも公になる。今後は、家光……お父さん達の目を、気にすることなく動けるわけだが…」
「う”お”ぉいっ!! ただ公になるわけじゃねぇーぞ! ド派手な登場だぁ! 一目置かれるだろーがよぉ。んでもって、今後は本格的に、他の10代目候補を蹴散らすために、どう動く? ボス」
ポンッ、と紅奈の頭に、スクアーロの右手が置かれた。
紅奈は、その手を、ぺいっと退かす。
振り返らずとも、好戦的にニヤリと笑っていると、わかっている。
「敵を知る。他の10代目候補者を見定めたいものだね……確か、現在は」
「紅奈以外に、公にされている10代目候補者は、三人です。XANXUSは、数には入れていません」
紅奈より先に、骸は口に出す。
「そうそう。三人。ソイツらよりも優秀だと知らしめてからの………最終的には、決闘でもして、ぶっ潰す。始めから、そのつもりだった。今後も、力を上げていき、功績を立てていき、正式に10代目ボスになったあとの勉強も同時にするんだ。あたしの予定は、ザッとこんなもんだけれど……。
あ。忘れかけてた。アイツらを迎えに行くって話だったわ」
10代目ボス候補になり、スクアーロを味方につけた時点で、紅奈はヴァリアーを掌握させてから、力をつけては他の10代目候補を蹴散らす気でいた。
強くなるのは、自分だけではない。
本物の絆で結ばれたファミリーとともに、最強のボンゴレを作り上げるためにも、動き続ける。
他にも、強くすべき部下がいると、そこで紅奈は思い出す。
ベルもまた、思い出した。
「あー、そうだったなー。あんなザコ達を、どーすんの? ヒマつぶしに、稽古相手やってたけど……パシリ程度にしかならないっしょ」
「あ”? んん? なんだぁ? 暇つぶしにガキどもを鍛えてやるために、ランチャーファミリーに通ってたのか?」
「いや、屋敷に滞在させてもらってた」
「…う”お”ぉいっ!? 聞いてねーぞ!? 何よそのファミリーの屋敷に泊まってやがんだよ!?」
「え? 聞いてないの? マーモンから聞いてるとばかり」
「マーモンの野郎ぉおおっ!!」
「うっさ。」
スクアーロに真後ろで叫ばれて、げんなりした顔で紅奈は耳を塞ぐ。
「そういえば………不吉な名前のファミリーの子がいるとか……本当ですか?」
嘘だと言ってほしい、という顔で、骸は恐る恐ると尋ねた。
「元ね。いるよ。…しーっ」
人差し指を唇に当てて、紅奈は不敵に笑って見せる。
そのファミリーの名前を、口にしないように、と示す。
こんなところで、名前を出すべきじゃないファミリー名だ。
事実だった……と、額を手で押さえる骸。
「……ちなみに、理由はなんでしょうか? 何が紅奈のお目にかかったのです?」
「四人の絆に目が留まった。……あと、サーラのお菓子を一生食べたい」
「それは、プロポーズですか…?」
「めっちゃ、プロポーズまがいに言ってたぜ」
「う”お”ぉいコラ、この人たらし。」
がしり、とスクアーロに頭を掴まれる紅奈は、すぐにぺりっと剥がした。
「あたしも手合わせしたけど、本当に強いよ。ランチアお兄ちゃん。最強の用心棒さんに、体術を教わってて、なかなかいい感じだよ。ベルは自分を基準にしないの。あの年頃としては、強い方だよ。……あの年頃の子達の戦闘能力は知らないから、ランチャー6代目曰く、だけど」
「強さ弱さより……問題児についてを、詳しく聞きたいのですが?」
「ん? めっちゃ懐いた。」
「いやそうではなく………手なづけたのですね、おめでとうございます。とりあえず、そんな問題児を、貴女の部下にするメリットを教えてください」
「だから、絆だってば。あたしは、四人の強い絆の強さで、これからも生きていくって直感したし、強く成長していくさ」
もっと納得が出来る理由が欲しい。
そんな骸の眼差しに気付くと。
「マフィアへの復讐心に囚われていた骸達が、あたしの手を取ったように、その四人もあたしの手を取ったまでのことだよ。その問題児くんだって、おぞましいマフィアから、死に物狂いで逃げ出して生き抜いたんだ。少しだけでも、自分と重ならない?」
紅奈は、そう付け加えた。
「………ええ、まぁ……そう、ですね…」
そう言われてしまうと、余計な口は挟めそうにない。
骸は、肩を下げる。
自分達と似たような境遇の少年達が、紅奈に拾われて、救われたということ。
「コウってば、なんでも拾うんだから。過保護部下、しっかりしろよ。」
「まさに紅奈が拾ってた時に、意識飛んで気絶してた奴に言われたくねーぞぉ」
((過保護部下呼びを否定しなかった……))
紅奈と骸は、ベルの呼び方をスルーしたスクアーロを見てしまった。
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