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空色少女 再始動編
294 スキー















太陽の光が反射して眩しすぎて目が痛い。

どこまでも真っ白。

爽快の青空で遠くの山まで見えたが、それも真っ白。

粉のような雪が被さっている。

雪景色。白の世界。


感嘆が混じる息を吐くとそれも白く景色に溶けていく。


隣に立つ綱吉なんて言葉が出ず、パクパクと口を魚のように動かしている。


「イタリアの雪景色も最高ね!写真撮りましょう!」


子供みたいにはしゃぐ奈々に言われ、雪景色をバックに家族写真を撮った。

そこにスクアーロとベルが到着。


「本当に任せて大丈夫?スー君」

「あ、任せてください」


確認する奈々に低姿勢でスクアーロは頭を下げる。


奈々と家光はスキー経験者だが、初めての紅奈と綱吉はスノボーを選んだ。

だからスノボー経験者のスクアーロに教わるから、二人は滑ってていい。と紅奈が提案した。


つまり、また別行動。


家光を避ける対策だとわかっているため家光も仕方なく、その提案を受け入れて二人で滑りに行く。


「紅奈ちゃああんっ!」

「ん?…ルッス」


早速スノボーをやろうとボードに足を固定していれば、聞き覚えのある声に呼ばれる。

振り返れば、派手な頭をしたルッスーリア。


「久しぶり!会わないうちに可愛くなったわね!」

「何しに来たの?」

「んまぁ!久しぶりの挨拶もなしなの!?ドライ!」

「可愛くないね。近くに来てるって聞いたから顔を見に来てやったのさ」

「マーモン」


ただただ見上げていれば、ルッスーリアの後ろからフワリと小さな赤ん坊・マーモンが現れた。


「あら!紅奈ちゃんが来るって聞いて真っ先に会いに行こう!って言ったのはマーモンちゃんでしょ!」

「ム…!勘違いしないでよね!僕はただ出世払いのこと忘れていないかどうかを」

ツンデレか

「ムギャ!」


ルッスーリアに暴露され慌ててマーモンは言い訳をしたが紅奈が掴んだ雪を本体であるマーモンに放り投げた。

宙に浮いていた幻覚は消えて、雪の上にいたマーモンは少しだけ固まった雪玉を食らう。

ベルが「ししっ」と笑った。


「あっ相変わらずだね!出世払い忘れずに!」


口の中に入った雪を吐いてマーモンは紅奈から距離を取る。


「そんな怖がるなよ、マーモン」


にこり、紅奈は雪の上に横たわりながら微笑んでみせた。

ぞくぅ。
身の毛がよだつマーモン。


「コーちゃん、あの人ずっと見てきてるよ」


隣の綱吉が紅奈の赤いウェアを摘まんで引っ張った。綱吉の視線を追うと、少し離れた場所にルッスーリアと同じ黒いコートを着た男が睨んでいる。


「……ルッスとマーモンも滑る?」

無視するなぁあああ!!!


睨んでいる男が叫んだが一向に近付く気配がないため、紅奈は無視することに決めた。





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