空色少女 再始動編
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「ずっとあたしの看病で二人きりに慣れなかったでしょ?あたしとツナくんはスクがいるから安心して。夫婦の時間は大切なんだよ」
紅奈はにこやかに奈々をそう言いくるめた。
綱吉は紅奈と添い寝しなくては悪夢に魘されるようだから、綱吉も連れてスクアーロ達の部屋に泊まることになったのだ。
夫婦の時間を想像してすっかりその気になった奈々なら、ご立腹の家光を打ち負かせるだろう。
こっぴどく家光に説教されたらしいスクアーロはお疲れのようだ。
「風呂入ろう」
「うんっ」
「おう」
「待てぇえええええいっ!!」
ホテルの部屋に帰るなり、十歳未満組がお風呂へ直行。
自然な動作だったが騙されなかったスクアーロは直ぐにベルの襟を掴み止めた。
「お前まで入るつもりか!?」
「うん」
「頷いてんじゃねぇええ!!」
スクアーロの形相と声のボリュームに、綱吉は震え上がる。
綱吉は毎回紅奈とお風呂に入っていることを知っているし、双子なのだから気にしないがベルは話が違う。
「なんだよ、別にいいだろ。子供同士なんだから」
「よくねぇぞう゛お゛ぉいっ!!お前のせいでどれだけ家光に説教されたか…!餓鬼だろうが一緒に入ることはオレが許さねぇ!」
スクアーロに許可をもらわなくてもなぁ。
そう言いたかったが説教されたのは紅奈のせいでもある。
従ってやるか、と紅奈はベルと綱吉に顔を向けた。
「ツナくん、ベルとあたしとどっちとお風呂に入る?」
「え?ぼくは…」
「ししっ、オレとだよな?」
くいっとベルは悩んでいる綱吉に腕を回す。
紅奈との入浴をあっさり諦めて綱吉と入ると言い出すとはなんだか可笑しいベルだ。
そう思いつつも、紅奈は任せることにして先に一人お風呂に入ることにした。
「ねーねー、王子サマ」
「ん?」
「どうしてコーちゃんをキングってよぶの?」
「……」
それいっちまうのか。
純粋に疑問に思ったことを綱吉はベルにぶつける様子をスクアーロは傍観した。
「コーちゃんは女の子だから、お姫サマじゃないの?キングって王サマでしょ?」
「………。まぁ、紅奈はオレの姫様だけど……オレの王様なんだよ」
ここは怒らずベルは綱吉の肩に手を置いて簡潔に説明してやる。(ベルは説明しているつもり)
綱吉はハテナマークを浮かべた。
「それにお姫様って、呼ぶと紅奈は怒るぜ。多分」
「どうして?」
「さーな。秘密だぜ」
ししし、とわからない二人を見て優越感で笑い漏らすベル。
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