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空色少女 再始動編
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 誕生日会が終わり。飾り付けの片付けは、明日。


 家光が入浴している隙をついて、スクアーロはマーモンからのプレゼントを紅奈に渡した。

 何が入っているかわからなかったため、誕生日会で開くことは避けたのだ。

 何故かずっしりしていた。


「中身は本だな」


 キリッと紅奈はスクアーロに向かって、予想を言う。
 開いてみれば、的中。
 ギリシャ語とイギリス語の勉強に、最適な教材の束だった。


「あたしが次に学びたい外国語の…! マーモンは超能力者か!?」

「超能力者だろうがぁ」


 超能力関係なく、ベルが教えただけである。

 ちなみに、綱吉の分もあった。英単語のドリルである。


「マーモン……意外と気配り出来るのね」

「いや、将来のためにも、媚び売っておきたいんだろ。マーモン、必死、ウケるー」


 将来のため。骸に霧の守護者の座を奪われないためなのか。


「スクもありがとうね。なんか二個もプレゼントもらう形になったな」

「あ? 髪留めぐらい、いいじゃねぇか」


 スクアーロが誕生日会で渡したのは、表向きのプレゼントである。


「本当にブームが終わってないか?」

「しつこいなぁ。ちゃんとベルで証明する」

「…ししし」



 スクアーロの本当のプレゼントは、戦闘装備用の膝のプロテクター。

 稽古で叩き潰されることが決定しているベルが、それをつけた膝蹴りを食らう。紅奈は、仕返しはきっちりやるタイプなのである。


「王子からもー。ホントのプレゼントな」


 ひょいっとベルが紅奈の手を取ると、そこに長方形の箱が置かれた。


「え? なんで?」

「べっつにぃー。いいじゃん。開けて開けて」


 ベルは、急かす。

 包装されていない箱をパカッと開ければ、ナイフだ。ベルの愛用のナイフと同じ形だけど、オレンジのラインが入っているデザイン。


「前使ったロングブーツにも収納出来るやつに変えといた。一つや二つ、持っておいて損はないじゃん」


 そう言って、ベルは紅奈の肩に顎を乗せた。


「へぇー、いいね。ありがとう、ベル」

「どーいたしまして♪ おめでとう、コウ」


 チュッと頬にキスをした。スクアーロが離れろと手を伸ばすから、ひょいっと避けて座り直す。


「ずいぶんと、あからさまに、尽くしますね…」


 出遅れた骸は、別のプレゼントは用意してない。


「持ってるものが違うしぃ」

「クフフ……後日、しっかり叩き潰されてください、紅奈に


 バチバチと火花を散らす二人。


「いいじゃん。夏休みに骸からプレゼントもらったんだから」

「……あれは日頃の感謝の印ですよ…」


 ちゃんと骸が贈ったヘアートリートメントとゲーム機は使われているが、別物として受け取ってほしいと複雑になる骸だった。





 スクアーロのプレゼント開封は後日。

 夜。存分に誕生日会をはしゃいだ綱吉は、もう寝落ちる寸前だ。

 ベッドに入れば、三秒で寝てしまいそう。


「コウちゃんのお願い。かなうといいね」


 綱吉はそう眠気たっぷりに言うと、ギュッと紅奈にしがみついたまま、眠ってしまった。

 そんな綱吉を見つめてから、紅奈は額に口付けをする。


「おめでとう。…おやすみ」


 そっとそれを口にしてから、紅奈は薄暗い部屋の天井を見つめた。


 カチカチ、と時計の針が進む音が、やけに響く。


 少しの間だけ、そうしていたが、紅奈は綱吉の手を握り締めて、目を閉じた。







 来年は、彼にも祝ってもらえますように。


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