空色少女 再始動編
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そんなこんなで、誕生日会の飾り付けが完了。
ででーんっ。
キラキラ輪っかの紙のガーランドと赤や黄色の風船で、壁を飾り付けたリビング。
ザ・子どもの誕生日会の飾り付け。
「だっせーな」とボソリと小さく呟いたベルは、紅奈に足を踏まれた。
ひょっこりと紅奈と綱吉の誕生日プレゼントを持ってきて、直接おめでとうを言いに来たシャマルの分もあって、主役二人の誕生日プレゼントは山積みである。
他は、骸と犬と千種の意見も取り入れて、三年分の誕生日プレゼントが、家光により用意されたのだ。
中でも、綱吉が気に入ったのは、千種が選んだヨーヨーだった。回るとピカピカ光る仕様である。
はしゃいだ綱吉に持ち方を押しては、振り下ろしては軽く手を上げてキャッチするのだと、めんどくさそうながらも教えてやった千種。
ゴツン。
勢い誤り、手に戻るはずだったヨーヨーが、手をすり抜けては綱吉の額にクリティカルヒット。
あわあわとして青ざめた千種は、恐る恐ると見ていた紅奈を窺う。
綱吉には、危害を加えない。それが居候生活の絶対的なルールだ。
「ああ、大丈夫だよ、千種。ツナくんのソレは、あたしにも解明できない謎なんだ…」
「???」
「本当にどうしてそうなるか、わからないことばかりが起きるんだ…。出来れば、怪我しないように見守ってね?」
「わ、わかった…」
とりあえず、紅奈には怒られなかったので、胸を撫で下ろす。
綱吉の壊滅的なドジは、解明出来ない謎なのか。
生まれた時からそばにいた紅奈にすら、わからないのである。謎なのだ。
何度かチャレンジしたが、綱吉は顎と再び額とぶつけ続けたため、千種はストップをかけた。
涙目な綱吉が泣く前に、流石に止めた方がいい。明日練習しよう、と説得したのだった。
スクアーロ、骸、犬は、髪留めと被ってしまう。
スクアーロは、髪を束ねる用に、空色のシュシュである。
骸は、オレンジ色に煌めくバレッタ。
犬は、色とりどりの髪留め用のピン。
奈々は、長く伸ばしていく髪をもっと手入れしてほしいということで、新しいブラシやドライヤー。
ベルは、洋服と靴。ベルが選んだコーデ一式。ついでに、綱吉にも似たようなコーデを贈ってやった。
モリモリな料理を食べたスクアーロ達。腹がはち切れそうである。家光が、どんどん食べらせては、紅奈のケーキを食べられなくするという、これまた大人げない作戦に出たのだ。
しかし、ケーキは別腹。
少々、上に載っているクリームは不揃いではあるが、ちゃんとした見た目のケーキである。苺も添えてあるチョコレートケーキ。
味も申し分なし。美味い。流石、紅奈である。
「一切りちょーだい。ツナくんとお母さんの分」
紅奈がコタツテーブルを囲うスクアーロ達の元に来ては、一切れ取った。
「味、どう?」
「あ? 美味いぞぉ」
「そう、よかった。味見してなかったんだよね。あーん」
スクアーロの肩に腕を置いては、一口だけ求めて紅奈は口を開く。
「「はい! あーん!」」
スクアーロが動くより先に、ベルと骸がフォークに突き刺したケーキを突き出すように向けた。
ぱちくり、と目を瞬かせたか紅奈だったが、ベルの方をパクリ。
ベルが勝利、骸が敗北。
かと思いきや、骸の方もパクリ。
引き分け。
モグモグ、ゴックン。
「まぁまぁかな。ツナくーん、お母さん、あたしのケーキも食べて」
綱吉と奈々のための一切れのチョコレートケーキ。ちゃっかり、家光まで食べたものだから、紅奈は露骨に嫌な顔をした。
家光。娘からの嫌われっぷりに、大ダメージ。
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