空色少女 再始動編
289 ディーノ
「っ紅奈!?」
「…まだ居たの?」
「まだ居たって…オレだって旅行に来たんだけど…」
紅奈だとは知らずに近付いたらしく紅奈だとわかるなり真っ赤になって震え上がった。
紅奈は淡々と冷たい反応をする。
ディーノの格好はジーンズにシャツと言うラフな格好。本当に旅行にきただけのようだ。
「あ、昨日は…悪かった。怖い思い…したよな?」
「なんの話?貴方、一人旅行?」
しゃがんでディーノは昨日の件を謝罪する。その件についてはとぼけて、あの赤ん坊がいるかどうかを探ってみた。
するとディーノはなんとも言えない顔で黙り込んだ。
「……」
「えっと…」
「……」
「…そのぉ…」
「……」
「………」
「……」
「………迷子…です…」
紅奈が黙って見上げていればその視線に耐えきれなくなり、ディーノは白状した。
迷子になったから、近くにいた紅奈に道を聞こうとしたらしい。
「悪いけどあたしに道を聞かれても答えられないから」
「う…うん……」
しかし周りには他に人はいなかった。
ディーノは迷子続行。
どうやらリボーンとはぐれたらしい。
昨日は他のファミリーに襲われたというのに。
頼りないボスを一人ふらつかせるとは、あの家庭教師なに考えているのだ。
ん?それとも今そのファミリーを潰しているとか?
いや、彼はそんな親切ではない。
リボーンの客なら彼が片付けるだろうが、あれはディーノを狙っていた様子だった。
しかも生かして誘拐しようとしたんだ。
生かして捕らえる理由はなんだ?
紅奈も誘拐されたことがる。あの時は家光に降参させるために誘拐された。
ディーノもそうか?
旅行で無防備な彼を使って誰かを降参させたいのか。
「…去年車を運転してくれた人は?」
「え、ローマリオ?そいつとはぐれちまったんだよ」
質問すればビキニをガン見していたディーノはバッと逸らして答えた。
ファミリーとハワイで年越しか…。
無防備…って、わけでもないのか。
抗争中に旅行するわけでもないし。
「あの子は?リボーン」
「リボーンは野暮用って言って朝からいないけど」
野暮用…ね。
まぁいいか。
紅奈が気にすることではない。
「紅奈は…」
「迷子じゃない。家族とスクはあっち」
「?」
迷子と決め付けたディーノに否定して海の向こうを顎で指す。だが今は潜っていて見当たらないディーノは首を傾げる。
「……………スクアーロと……本当に…?」
「……?」
「あ、去年イタリアで待ってたのは……スクアーロだったのか?」
言われるまで忘れていた。
紅奈は目を丸める。
違う。
否定しようにも口さえも動かせなかった。
会うことも、約束を果たすことも、諦めてしまった。
骸にも会いに行かなきゃ…───。
待っている…────。
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