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空色少女 再始動編
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「う゛お゛ぉおい!どうした!?紅奈」


ずっと見ていて異変に気付いていたスクアーロが海に足を入れて駆け寄った。


「気分が悪いだけ。休む。代わりにやってこい」

「はぁ?いや……」


顔を上げないまま紅奈はスクアーロを横切って近くの木陰に向かう。

スクアーロはタオルとパーカーを取ってから、タオルで紅奈の髪を拭く。
居候していた数日間はずっと紅奈の髪を拭いていたスクアーロは慣れた手付きで拭いてやるが、紅奈は「自分でやる」とタオルを奪う。


そのまま紅奈は木陰に座り込んだ。


「……紅奈…?」

「早く行けって。綱吉に何かあったらただじゃおかないぞ」


ただならぬ様子の紅奈を心配して目の前に膝をついたが、タオルの下から紅奈がギロリッと睨んできた。


シュノーケルを楽しめではなく、綱吉を見てこいと言う命令だったようだ。

こんな紅奈を一人にするのは心許ないが、命令は絶対だ。


仕方なくスクアーロはパーカーを紅奈のそばにおいてからシュノーケルを取り立ち上がる。


「気分が良くなるまでここにいろよ?…失踪すんなよ?」

「早く行け。」


完全復活した紅奈が失踪癖まで復活したかもしれない。物凄く心配してスクアーロは釘をさす。
紅奈が威圧感で急かすからスクアーロは海に向かった。


紅奈は少しだけ顔を上げて、スクアーロの背中を見る。


遠くにはベル達。


木漏れ日の中、ほっと息を漏らす。


(……ローナの庭園の木陰はこんな感じだったのかな…)


海底で見た前世の前世の記憶を掘り返して、この木陰と比べる。


(全然違うか…)


リアルで鮮明な記憶の中の庭園には、太陽と花の香りが満ちていた。

ここは塩水の匂いだ。


タオルで目を隠せば、海中にいる気がしてくる。


完全に立ち直れたと思ったのに、綱吉やベル達の前で溺れかけるとは情けない。


(立ち直れてないんだ……)


わかってる。
紅奈は額を押さえて俯く。
何も解決していない。
あの海面にいるアイツを掴まなきゃ、いつまでもいつまでも溺れる夢を見る。


アイツを。
アイツを掴まなきゃ。


アイツを出してあげなきゃ。


だけどその方法はたった一つ。

指輪を手にいれなくてはならない。


しかし、指輪を手にいれる資格なんて、今はない。


今すぐ出してあげることは──────また力不足のせいで、出来ないのだ。


「あたしは本物が欲しい」


あの日の空も覚えている。
あの時も濡れていたっけ。


「本物の忠誠心と、本物の絆で繋がったファミリー。本物を覚悟に誇りのあるマフィアのボスになる。まだまだマフィアらしいことなんてわからないけど、あたしはあたしのファミリーにするよ。スクアーロ、XANXUS、お前達の目指すファミリーはなんだ?」


背中を向けたまま二人に訊いた。


「最強のボンゴレ」


XANXUSは一言で答えた。


「オレぁ……紅奈が率いるボンゴレだぁあ。紅奈がボスに立つファミリー」


スクアーロも続いて答えた。

最強のボンゴレ。
紅奈の率いるボンゴレ。

二人の目指すファミリー。


「あたしが率いる絆の強い最強のボンゴレを、作ってやるよ。本物のファミリーを、魅せてやる。ついてこいよ?」


振り返れば、二人は紅奈を見ていた。

スクアーロとXANXUSの顔。


二人は決意した目をしていた。


どこまでもついていく。


そう伝える目をしていた。



「─────…」


人の気配に気付いて、紅奈は右に顔を上げて向けた。

そこに立っていたのは、ディーノ。







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