空色少女 再始動編
367
「今日はお客さんがいっぱいね!ベル君はディーノ君とリボーン君は知ってる?」
奈々から二人の名を聞いて、ベルは紅奈の顔を見た。
「…だから」
「やだ。」
べしっとブーツを脱いだベルはディーノの花束を蹴り飛ばす。
花に八つ当たりをするでない。
リビングのテーブルにマフィアボスと殺し屋と暗殺者が並ぶ。
嫌な予感はしないが、この場から逃げたい。それが紅奈の心境だった。
(なんでこのヘナチョコが紅奈の家に来てんだよ…)
(確かコイツ…殺しの天才…切り裂き王子のベルフェゴールだよな…)
ベルとディーノは、ライバル意識で互いを見る。
(どうやって追い出そうかな…)
綱吉とリボーンが関わるのは我慢ならない。
綱吉をマフィアに関わらせるわけにはいかないのだ。
だが紅奈がそばにいる以上、それは無理難題。そばを離れようとすれば勘付いて引き留められる。引き留められては振り払えない。
問題はまだまだ山積みだ。
「なに難しい顔をしてるんだ?」
「……別に」
リボーンの問われて、頬杖をつく紅奈。
「ベル君とはお友だちなの?」
「え、いや…あんまり話したことが…なぁ?」
奈々がお菓子をテーブルに置きながら、ディーノに訊いた。
ディーノが答えに迷ってベルに振るが、無視をされる。
「コーちゃん、しゅくだいおわったよ」
綱吉がノートを持って紅奈に駆け寄った。紅奈は確認してから、頷いて笑みで頭を撫でる。
「双子の弟がいるって聞いてたけど、まじで似てるな!」
「あ“?」
「ひっ!」
身を乗り出してディーノが紅奈と綱吉を見比べれば、紅奈に睨まれて震え上がった。
「コーちゃんのともだち?」
「いや、スクアーロの友だろ」
「スクアーロお兄ちゃんの?」
友だちにすら認めてもらえないディーノは、また傷付くのであった。
「オレはリボーンで、こいつはディーノだ」
「ぼくは綱吉!」
「そして紅奈ちゃん。そしてそしてぇ」
何故か奈々が紅奈を紹介。
紹介せずとも皆知っている。
次はベル。
「紅奈ちゃんの恋人のベル君!」
爆弾を投下した。
ああ、そう言えば恋人だと思い込んでいるんだった…。
違うよーと言っても夢心地な母は聞いてくれないのだ。
恋人と思われていることは知っていたベルは、ディーノに勝ち誇った笑みを向ける。
ディーノは放心状態。
投下された爆弾に意識が吹き飛ばされた教え子を見て、リボーンは溜め息をついた。
「じゃあオレ達はこれで失礼するぞ」
ズルズルとディーノを引き摺って去っていった。
「何しに来たんだ? アイツら」
「知らん」
20220612
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