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空色少女 再始動編
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「ねぇ。何様のつもりなの? あたしと友だちになったつもり? 馴れ馴れしいんだけど」


見下す紅奈が冷たく突き刺すように問い詰めた。
物凄い拒絶にディーノは、涙目で兎のように震える。


「そんな冷たいこと言うなよ。紅奈」

「なんで家知ってるのよ、ストーカー?」


まるで番犬のような威嚇状態な紅奈に対して、リボーンは通常運転。


「遊びに来たんだぞ。お前の父親の許可は得てる」

「あたしは許可しない。帰ってちょうだい」


その父親はいない。
紅奈は一蹴する。

すると背にしていたドアが開いた。


「何してるの? コーちゃん。…あら! ハワイにいたお友だちね! こんなところにいないで入ってらっしゃい」


最悪なことに奈々が出てきて、招き入れた。
「邪魔するぞ」とリボーンがさっさと入り、そそくさとディーノも入る。

我が家にリボーンが入った事実に、どうしようもない苛立ちを覚えた。


奈々は大歓迎する。
なんとか二人を追い出す作戦を考えながら、紅奈も家に戻った。

黄色い花がまた視界いっぱいに咲き誇る。


「これ、紅奈に。えっと急に来てすまん」

「……」


ディーノから黄色い花を渡され、受け取る紅奈。
顔を赤らめたディーノは、ガチガチに緊張しているのがわかる。
すぐに背を向けて逃げるようにリビングに行った。

黄色い花を渡されても…。
花瓶はあるだろうか、と紅奈は奈々に訊こうとした。
が訪問者を知らせる音に引き留められる。

紅奈は玄関に花束を置いて、扉を開いた。


視界はまた黄色。


黄色い花が退かされたかと思えば、また金髪。
ニッと笑みを浮かべるベル。


「……その花は何? ブームなの?」

「ブームと言えばブームじゃね? イタリアは今日ミモザの日なんだよ」


ミモザの日。
聞いたことがある。
イタリアにはホワイトデーがない代わりに、ミモザの日という黄色い花であるミモザを男が女に渡す日。

ディーノのくれた花も、ミモザの花。


「あら! ベル君いらっしゃい!」


奈々の声を背中で聞いて、紅奈は顔を引きつらせた。


「ベル……タイミング悪い」

「…は?」

「とりあえずお前帰れ」

「え、やだ。なんでだよ」


ボロが出そうだからベルに帰ってもらいたかったが、ベルは花束を紅奈に押し付けると次は箱を渡す。

生チョコだ。

おお! と紅奈が喜んでいる隙にベルは家に入った。
先に目に入るのは、玄関に置かれたミモザの花束。




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