[携帯モード] [URL送信]

空色少女 再始動編
365 黄色い花



そして振り下ろす。


紅奈は微動だにしなかった。
スクアーロの刃は紅奈の身体に触れず、地面に突き刺さる。


「…今日は集中力がねぇみてぇだなぁ」

「うん。スクアーロが生チョコくれなかったことにショックを受けてるの」

「…………は?」


地面に寝転がる紅奈が意味のわかないことを言うため、スクアーロは眉を上げた。


「ベルは用意してくれたの。バレンタイン。マーモンも遅れてくれた。ルッスーリアも」

「……だからなんだぁ」

「忠誠を誓う女ボスにバレンタインにチョコをくれなきゃだめでしょ」


え、そうなのか…?

スクアーロは眉間にシワを寄せる。

クールな紅奈がそんなイベント事に興味があるとは思わなかった。


「イベントには興味はないわ。ただ生チョコが欲しいだけ」

「生チョコが欲しいならそう言えっ!!」

「ベルのくれた生チョコがあまりにも美味しくて、また食べたいなぁって」


バレンタイン関係なくチョコが欲しいだけ。


「わかったわかったぁ! オレから一本取ったらくれてやるぜぇ」


それを聞くなり、紅奈は飛び起きた。
紅奈のモチベーションが上がったもよう。

ヒュッと剣を振って、剣先をスクアーロに向ける。


やっとやる気になったのか、とスクアーロは口角を上げた。






スクアーロが帰ったその直後。
綱吉の宿題を見て、スクアーロが買ってくれた生チョコを紅奈が食べていると訪問者を知らせる音が鳴った。


紅奈が出てみれば、目の前が黄色に染まる。

黄色の花。


「ちゃおっす」

「よ、よぉ!」

「……」


黄色い花を持つディーノとその肩に乗るリボーンが玄関にいた。

これは夢だろうか。
紅奈は夢であってほしいと願ったが、紛れもなく現実。


「留守です」

「顔を出しといて居留守!?」

「コーちゃん、お客さん?」

「おお! 紅奈と同じ顔、だ!?」

「宿題続けて」


綱吉が顔を出す。
ディーノに蹴りを入れて、玄関を出て閉める。





[*前へ][次へ#]
[戻る]

[小説ナビ|小説大賞]