[携帯モード] [URL送信]

空色少女 再始動編
285







「そうだわっ!スー君とベル君も一緒にスキー旅行に行きましょう!」


温かな気温のハワイ島の人気のホテルのレストランで沢田奈々は穏やかに微笑んで唐突に言い出した。


ぽかぁあん。

同じ席で夕食を取っていたスクアーロとベル、そして綱吉、綱吉の父である沢田家光は口をあんぐりあける。


今現在ハワイ旅行中に、唐突にスキー旅行の話をしたのだ。

全くこの母親はよくわからない。

スクアーロは困惑した。


何故奈々がスキー旅行について言い出したのかを知っている家光は、顔をひきつらせた。

昨夜家光が奈々に提案したのだ。


次の旅行は国内にしよう。


あまり家に居られない家光が家族と楽しむために提案したのだが、スクアーロ達はイレギュラーだ。

今回だけ百歩譲れるが、また家族旅行に乱入されてはたまらない。


家光はスクアーロを睨み付けた。

ずっと家光の顔色を伺っていたスクアーロは身を縮める。


「いいね、スキー」


紅奈は静かに賛同し、切ったステーキを食べた。


「一緒に行こう?」


にこ、とスクアーロに紅奈は笑みを向ける。

強制だ。
この笑みは有無言わせないという意味だ。
スクアーロに拒否権などない。


反対している家光が断れと睨んでくる。
紅奈が頷けと威圧感を向けてくる。


板挟み。


「い……いいんですか…?オレとベルが家族旅行についていって」


スクアーロはあえて二人から顔を逸らして奈々に訊いた。


「もちろんいいわよっ!その方がコーちゃんもツッ君も喜ぶんですもの!ねぇ?あなた」


頬に手を当てて奈々は若々しくもはしゃいだ様子で自分の夫に笑顔を向ける。

妻に弱い家光は、怯んだ。


「綱吉も、オレもいってほしいだろ?」

「うんっ!」


そこでベルが綱吉を上手く使い、賛成票を取る。

多数決で決まりだ。


ガクリッと家光は項垂れる。


「じゃあスク、ベル。来月あけといてね」

「お、おう…」


にこっと紅奈が可愛らしく微笑んだ。スクアーロは家光に睨まれつつも紅奈に頷いた。

紅奈の母親には礼儀正しく話してスキー旅行について詳しいことを訊く。


ボスである紅奈の母だからなのか、スクアーロは奈々には畏まった口調で話す。
それはスクアーロを知る者からしたらすごく奇怪に見えるのだが、人間慣れれば平気なもので紅奈達は食事を摂り続けた。


「スキーは後にして明日の予定を話そう。明日はどうするの?」

「明日は海だろ?海水浴だろ?」

「海……」


次の旅行の予定より、今の旅行だ。

ベルがワクワクしたように海水浴を押した。

紅奈は手を止める。


そんな紅奈に気付かず、一同は予定を立てた。


「なぁ、紅奈。それでいいよな?」

「ん?…あー、いいんじゃない」


ベルの掌が置かれ、紅奈は我に返り適当に頷く。







[次へ#]
[戻る]

[小説ナビ|小説大賞]