†piccio notte†
†002
「なんで……殺すのよ……」
絞り出す声は消えてしまいそう。
「私は殺されてもいいッ!!!!家族には何もしないでよ!!!!」
もっと早くに言えば良かった言葉。嫌い、嫌いと思っていても、一つしかない家族だった。たった一つの家族。
「驚きだね」
男はそう洩らし、私に冷たい指先が触れる。
「嫌いなくせに」
ぎくり、と心臓の鼓動が早くなる。
彼が何故知っている?
彼は一体何?
「気に入ったよ…」
彼の顔に笑みが零れる。
「君、仲間にしてあげる」
獣ような見たことない金色の瞳が私を映す。
彼の言葉が理解できないまま、首筋に痛みが走る。
彼が噛み付いた。
「ぁ…ぅっ…!」
ごくり
血を吸われる音。
身体中の血が首筋に集まる様に流れるのを感じる。
熱い。痛みから熱に変わる。
視界はぼやけ、意識は堕ちるような遠退いてゆく。
闇ヲ蠢ク獣ガ私ニモ牙ヲ向ケタ…
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