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ひらひらの小説
オリンピック記念小説 女子ボクシング 日本代表 中嶋さやか VS アメリカ代表 メアリー・ブライアン


オリンピック記念小説 女子ボクシング 日本代表 中嶋さやか VS アメリカ代表 メアリー・ブライアン

今回から少しオリンピック記念ということで女子ボクシング小説を書いていきますよ。
どうぞ、お付き合いくださいね♪♪


女子ボクシング
日本代表VSアメリカ代表
今回の試合は日本代表の中嶋さやかとアメリカ代表のメアリー・ブライアンである。

リング上に上がり、レフェリーによってリング中央に呼ばれている。

「スポーツマンシップにのっとってフェアな試合をしてくださいね」

レフェリーの言葉に二人は頷いていく。
注意事項を言い終わったレフェリーによって二人は自分のコーナーに戻っていった。

「さやか、相手はハードパンチャーだ。 お前もパンチ力はあるが下手に打ち合いに付き合わずに1ラウンド目はジャブでポイントを稼いでこい」
「分かりました、末永会長。 リーグ戦とはいえ、勝たないと金メダルは取れませんもんね」

さやかは末永会長との話を終えると反対側のコーナーにいるメアリーを見ながらアップをしていく。

「メアリー、相手は日本人だ。 1ラウンドからお前のハードパンチでKOしてやれ」
「分かってるよ、ボス。 あんな弱そうな娘に負けたら恥ずかしいじゃないか。 必ず、KOするよ」

メアリーも自分の所属しているジムの会長と話し終えるとスツールから立ち上がり、身体を温めていった。

1ラウンド目が始まるとさやかはジャブを打ちながらメアリーと距離を取っていく。
しかし、メアリーはジャブを打たれても構わずさやかとの距離を詰め、左右のストレートを連打していく。
さやかはそのストレートをかわしながら時々カウンターの右ストレートを打ち込んでいく。

「うぶぅ・・・ こんのぉ!! さっさとダウンしろよ!!」
「誰がダウンなんかするか!! あんたこそさっさと倒れなさいよ!!」

さやかの言葉にメアリーが腹を立てたのか、さやかの放つストレートをものともせずに一気に近づき、ガード越しにアッパーを打ち込んでいく。
さやかはなんとかガードして凌ごうとするがガードを弾き飛ばされてしまう。
そして、さやかの顔にメアリーの左右のフックとストレートが打ち込まれた。

「ぶはぁ・・・ あぶっ・・・」
「そろそろお寝んねしなよ!!」

メアリーの右ストレートが体勢の崩れたさやかの左頬にめり込み、顔を歪ませる。
さやかの身体が大きく吹き飛ばされ、仰向けにダウンさせられてしまう。
メアリーはレフェリーにニュートラルコーナーに向かうように指示されて、ニュートラルコーナーに行った。

「はぁ・・・ はぁ・・・ (ダウンさせられた? あんな奴に・・・ 負けたくない・・・ 勝って金メダルを取るんだから!!)」

さやかはカウント8で立ち上がるとレフェリーがさやかのグローブを掴み、試合を続けられるかを確認していく。

「中嶋、やれるか?」
「やります!!」

レフェリーはさやかの言葉に試合を再開していく。

試合が再開されるとまたメアリーの左右のストレートやフックがさやかの顔やボディーに打ち込まれていく。
しかし、さやかも左右のストレートをメアリーの顔に打ち込んでいく。

「ぶふぅ・・・ かはぁ・・・」
「あぐぅ・・・ んぶぅ・・・」

お互いの口からは唾液が吐き出される。しかし、1ラウンド終了のゴングが鳴り、二人は自分のコーナーに戻っていく。

「ずいぶんやられたな。 様子見はもういい。 2ラウンド目からは思い切り打ち合ってこい」
「はぁ・・・ はぁ・・・ 試合は6ラウンドまでしかないからですね・・・」

 さやかの言葉に末永が頷いていく。

「メアリー、次のラウンドこそあの日本人をKOしてこい。 時間をかけるな。 試合はまだまだあるんだからな」
「分かってるよ、ボス。 次のラウンドこそはさっさと終わらせてやるさ」

2ラウンド目が始まり、メアリーはさやかにとどめを刺すつもりで一気に距離を詰めていく。
しかし、さやかも様子を見ることを止めたようで、一気にメアリーとの距離を詰めていく。
そして、メアリーのボディーに右アッパーを打ち込んでいく。
しかし、メアリーもすぐに右フックをさやかの顔に打ち返していく。

「ふぐぅ・・・ ぶふぅ・・・ 急に強くなったじゃない・・・ けど、負けないよ!!」
「あぶぅ・・・ んはぁ・・・ わたしだって負けないわよ!!」

二人の左右のフックやストレートがお互いのボディーや顔に打ち込まれていく。
しかし、徐々にメアリーの手数が減っていく。
そして、さやかのパンチでメアリーがロープまで追いつめられた。

「はぁ・・・ はぁ・・・ あんたなんか負けられるわけないだろ・・・ さっさとKOされてろよ・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・ うるさいわね・・・ あたしだって同じなのよ・・・」

さやかは左右のフックやストレートでメアリーのガードを弾き飛ばすとメアリーのボディーに思い切り右アッパーを叩き込んだ。
メアリーの口からは胃液とマウスピースが吐き出された。
そして、メアリーの身体がリングに崩れ落ちた。
レフェリーがさやかをニュートラルコーナーへ行かせるとカウントを始めた。

「(なんだい・・・ やけに、ひんやりしてるじゃないか・・・ あたしは何してたんだっけ・・・)」

メアリーの意識がぼんやりしている間もレフェリーのカウントは続いていく。

「う・・・ うーん・・・ (そうだ・・・ あたしは今、あの日本人とボクシングをしてるんだった・・・ ということはダウンさせられた・・・ そんなの、認められるわけないでしょ・・・!!)」

メアリーはカウント6で四つん這いの状態になり、カウント8で立ち上がった。
そして、レフェリーにファイティングポーズを構えてみせた。
試合が再開されるとさやかは立っているだけでも辛そうにしているメアリーの顔やボディーに左右のストレートやフック、アッパーを打ち込んでいく。
その度にメアリーの口からは血反吐混じりの唾液が吐き出されていく。
しかし、さやかは左右のラッシュを止めようとはしない。

「はぁ・・・ はぁ・・・ (しぶといなぁ・・・ あたしのパンチ力じゃKOできないっての・・・ 冗談じゃないわ! 絶対にKOしてやるんだから!!)」
「んぶぅ・・・ ぶへぇ・・・ かはぁ・・・ (ヤバいね・・・ 完全に足にきてる・・・ このままじゃやられる・・・)」

メアリーはなんとか凌ごうとさやかに近づき、クリンチに持っていく。
さやかはメアリーを振り払おうとするがメアリーはしっかりと抱きついてしまっている。
そこで、2ラウンド終了のゴングが鳴った。

そして、最終ラウンドである6ラウンドまで試合はもつれ込んでしまった。

さやかもメアリーも激しい打ち合いに顔もボディーも脇腹も赤く腫れてしまっている。
しかし、最後の力を振り絞りながら左右のパンチを放っていく。

「ぶはぁ・・・ ぐふぅ・・・ あぶぅ・・・」
「んはぁ・・・ くはぁ・・・ んあっ・・・」

二人の口からはもう唾液も吐き出されない。
しかし、二人の顔は大きく弾き飛ばされてしまう。

「ぐほっ・・・ ぶはぁ・・・ そろそろ倒れてろよ!!」
「ぶはぁ・・・ くはぁ・・・ あんたこそ倒れろよ!!」

二人は大きく振りかぶった右ストレートを放っていく。
お互いの顔に打ち込まれた右ストレートの威力に二人の身体がリングの上に落ちていった。

「ああっ・・・ くぅっ・・・ まけ・・・ ない・・・」
「うっ・・・ ぶはぁ・・・ あたし・・・が・・・勝つん・・・だ・・・」

二人は仰向けに倒れた状態から体勢を整え、起き上がろうとする。
カウント8の時点で試合の行方が決まった。
さやかが膝が震えながら立ち上がり、メアリーは俯せに倒れていた。

そして、10カウントが数えられ、さやかの勝利が決まった。

やがて、立ち上がったメアリーの下に行き、試合後の言葉を交わしていた。

「はぁ・・・ はぁ・・・ あんた、強いね・・・ 負けちまったよ・・・」
「メアリーも強かったわ・・・ 途中、何度も諦めかけたもの・・・」

さやかの言葉にメアリーはにこやかに笑った。

「さやか、またあんたとやりたい・・・ プロの試合でまたやってくれるかい?」
「もちろん! わたしもメアリーとまたやりたいから・・・」

メアリーとさやかはしっかりと握手を交わした。

「次も必ず勝ちなよ。 あたしもこれ以上は負けないからさ」
「分かったわ。 必ず勝ち抜いてみせるわ!!」

さやかはレフェリーに呼ばれ、メアリーのコーナーを後にした。


「ウィナー、サヤカ・ナカジマ!!」

レフェリーに証明書をもらってから右腕を高く突き上げられた。
こうして、さやかとメアリーの試合は終わった。

「あの日本人選手、強いね・・・ けど、ボクなら負けないけどね・・・」

そう呟いているのはイギリス代表のローレル・アンダーソンである。
彼女は次の試合に勝つとさやかと試合をすることになるだろう。

「ボクの相手・・・ ロシア代表の人を早くKOして終わらせようかな・・・」

そう言うと、ローレルは自分の控え室のテレビの電源を切った。

to be continued

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