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ひらひらの小説
第6回アンケートファイト 結VSクロ
第6回アンケートファイト 結VSクロ


結は大家の浅間美哉におつかいを頼まれ、そのおつかいを済ませ、帰っている最中だった。
近くの公園を通りかかった時、一人の少女が複数の男に囲まれているのを見つけた。
その瞬間、結は男達と少女の前に立ち塞がっていた。

「んだぁ・・・ てめ・・・」

結に詰め寄ろうとした男の顔に結の拳が叩き込まれていた。
そして、それを見た他の男は少女と結に襲いかかっていく。
しかし、二人は己の拳と蹴りで男達を蹴散らした。

二人はそのあと、公園のベンチに座り、話していた。

「えっと、あなたの名前はクロさん」
「はい。 あなたは結さん」

二人はお互いのことを話していた。
しかし、結はクロの戦いぶりを見て、拳を交えてみたいと考えていた。

「あの、クロさん。 結と拳を交えさせていただけませんか?」
「クロと勝負がしたいってことですか?」

クロの言葉に結は頷きながらクロを見つめていく。
クロはそんな結の表情を見て、拳を交えてみたいと感じた。

「クロは構いませんよ。 結さんは大丈夫ですか?」「結も大丈夫です」
「では、明後日、お互いに立会人を連れてきた上でやりましょう!」
「はい! 負けませんよ!!」
「クロも負けません!!」

結とクロは勝負の約束を交わすとその場を後にした。

そして、二人の勝負の日がやってきた。
二人はそれぞれに立会人を連れてきていた。
結は自身の葦牙である佐橋皆人を、クロは自身のパートナーである伊吹慶太を連れてきていた。

「結さん。 約束守ってくれたんですね?」
「クロさんもありがとうございます。 では、早速ですがやりましょう」

結がそう言うとクロも構えていく。
皆人は内心二人を止めたいと考えているのか、そわそわしている。

「あんた、名前は?」
「佐橋皆人・・・ 君は?」
「俺は伊吹慶太。 それより、あいつらを止めない方がいいと思うぜ」
「でも!」

皆人が否定しようとすると慶太は皆人を見据えていく。

「あんた、半端な覚悟であの子と一緒にいるのか?」
「そんなこと!!」

慶太の言葉を皆人が否定すると慶太は先程よりは穏やかな表情で皆人を見た。

「だったら、あいつらを信じてやれよ」
「うん・・・」

二人がそんな話をしていると戦闘体勢に入っている結とクロが視線で催促してくる。

「じゃあ、二人とも後腐れのないようにやれよ」

慶太の言葉に結とクロはその場から飛び出していく。
そして、お互いに右ストレートを放っていくが二人の拳の軌道が重なり、右の拳と拳が衝突し、辺りに衝撃を撒き散らしていく。
しばらく、その体勢でいた二人はお互いに笑みを浮かべると少し距離を置いていく。

「結さん、やりますね!」
「クロさんも! でも、まだまだ行きますよ!!」
「はい!!」

結はそう言うと一気に距離を詰め、左右のフックやストレートをクロの顔に叩き込もうとしていく。
しかし、クロもボクシングの技術を駆使して、スウェーやダッキングでかわしたり、両腕でガードしたりして防いでいく。
そして、すぐさま左右のストレートを結に返していく。
クロの放った左右のストレートを両腕でガードした勢いを利用して、結は再びクロとの距離を一定にしていく。

「はぁ・・・ はぁ・・・ さすがにお強いです・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・ 結さんもとても強いです・・・」

二人はお互いの実力を認めあいながら相手の様子を伺っていく。
しかし、また距離を詰めると相手の顔に左右の拳を叩き込もうとしていく。
だが、二人ともガードしたり避けたりしているため、なかなか当たらなくなってきた。

「(クロさん、凄いです! 正確に結の急所を狙ってきてます!!)」
「(結さんのパンチ力、テクニック、凄いです! クロも頑張らないと!!)」

二人はお互いのことを評価しあいながら左右のストレートやフック、アッパーを相手の顔だけではなく、ボディや脇腹にも叩き込もうとしていく。
そして、ガードしきれなくなり、二人の拳が相手に叩き込まれると二人の口から唾液や血が吐き出されていく。

「結ちゃん!!」

血を吐き出した結を見て、皆人が叫ぶと結の視線が皆人の方に向いた瞬間、クロが踏み込み、結の鳩尾に右アッパーを叩き込んだ。

「がはぁ・・・」

クロの右アッパーを受けた結の口から唾液と血、少しばかりの胃液が混ざった液体が吐き出された。
そして、衝撃に結の身体が吹き飛ばされ、地面に転がっていった。
クロは転がっていく結を見ながら構えを解かないでいる。

「(結さんのお腹、凄く硬かった・・・ たぶん、それほどダメージは通っていないはず・・・)」

鳩尾は人体の中でも鍛えにくい場所である。
しかし、結の鳩尾は今までクロが感じたことのない硬さをしていた。

「結さんは立ってきます・・・」

クロは心配そうに結を見ている皆人にそう言うと再び構えていく。
クロの言う通り、結は手につけたグローブで口元を拭きながら立ち上がった。

「はぁ・・・ はぁ・・・ クロさんのパンチ、凄いです・・・」
「ありがとうございます、結さん・・・ でも、まだやるんですね?」
「もちろんです・・・」

結がそう言うとクロは再びフットワークを駆使して結との距離を詰め、結の顎を狙った右アッパーを放っていく。
しかし、結は身体を少し反らすとクロの右アッパーをかわし、お返しの右アッパーを無防備になったクロの顎に叩き込んだ。

「んぁっ・・・」

クロは結の右アッパーをもらい、口から唾液を吐き出し、後ろに吹き飛ばされた。
結はそんなクロを見つつ、息を整えていく。
気合いで立ち上がったものの、腹筋では防ぎきれなかった痛みが結の腹部を苛んでいた。

「はぁ・・・ はぁ・・・ 結さんのパンチ、効きました・・・」
「クロさんの拳も効きましたよ・・・」

二人はそう言うとふらつきながら相手との距離を詰め、左右のフックやストレート、アッパーを相手の顔やボディ、脇腹などに叩き込んでいく。
その威力に二人の口からは血と胃液混じりの唾液が吐き出されていく。
しかし、二人はそれでも互いに拳を振るうことをいっこうに止めようとしない。
それは、二人とも強者と拳を交え、ぶつかれることに喜びを感じているからだ。

「はぁ・・・ はぁ・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・」

しかし、長時間殴りあってきたため、二人の体力はかなり消耗していた。
しかし、互いに勝ちたいという想いがあるため、どんなに辛かろうが相手を殴ることを止めない。

「んぁっ・・・ ぶふぅ・・・」
「んぐぅ・・・ かはぁ・・・」

二人の鼻は潰れ始めているため血が流れており、口からは胃液や血、唾液が混ざりあった液体が次々に吐き出されていく。
そして、顔やお腹は赤黒い痣が浮かび上がっていく。

「あぶぅ・・・」

クロの右アッパーが結の顎を打ち抜くと結の身体が崩れ落ちそうになる。
しかし、堪えると結は左フックをクロの脇腹に叩き込んでいく。

「ぐふぅ・・・」

クロは一瞬吐きそうになったのを堪えると結の鳩尾に再び右アッパーを叩き込もうとした。
しかし、本能的にそれを理解した結はクロの右アッパーを身体の動きでかわすとカウンターの右ストレートをクロの顎に叩き込んだ。

「んぶぅ・・・」

自身と結のパンチ力が合わさったカウンターを食らったクロはその勢いで数メートルも吹き飛ばされた。
結はゆっくりとクロに近づき、決着をつけるべく追撃しようとする。
しかし、結がクロの下に来た時にクロが起き上がり、その勢いを利用した右アッパーを結の鳩尾に叩き込んだ。

「がはぁ・・・」

結はクロの右アッパーに再び胃液と血を吐き出してしまう。
そして、地面に崩れ落ちた。

「結ちゃん!!」
「待て! まだ、二人の戦いは終わってない!」

結の側へ駆け寄ろうとした皆人を慶太が止めた。
慶太には結が立ってくるだろうと予想できたから皆人を止めた。

「皆・・・人さん・・・ 結は・・・まだ・・・やれますから・・・止めないでください・・・」

結の弱々しくも闘志に溢れた言葉に皆人は何も言えなかった。

「はぁ・・・ はぁ・・・ 結さん・・・本当にタフですね・・・」

クロはそう言うと結との距離を縮めていく。
しかし、蓄積したダメージがクロの足を鈍らせていた。
結はそんなクロの様子を見て、自分もゆっくりと近づき、右ストレートを叩き込んでいく。
クロは結の右ストレートをかわすことができず、口から血と唾液を吐き出していく。
しかし、クロも左ストレートを結の顔に叩き込んでいくと結も血と唾液を吐き出していく。
二人が拳を相手に叩き込んでいく度に辺りに血と唾液が撒き散らされていく。

「ぶふぅ・・・ んぁっ・・・ かはぁ・・・」
「あぶぅ・・・ んぐぅ・・・ んぶぅ・・・」

二人はさらに左右のパンチのスピードを上げていく。
約束した1時間がもうすぐ経とうとしていることを肌で感じ取ったからだ。
二人は距離を取ると息を整えていく。

「はぁ・・・ はぁ・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・」

二人は息を整えると互いに構えを取っていく。

「はぁ・・・ はぁ・・・ 結さん、決着をつけましょう・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・ そうですね、クロさん・・・」

二人はそう言うとゆっくりと近づいていく。
そして、ある距離で急加速し、相手に右ストレートを叩き込んでいく。
しかし、二人とも同じタイミングで右ストレートを放ったため、相打ちになっていた。

「あがっ・・・」
「んぁっ・・・」

二人は一瞬時間が止まったように止まり、それからゆっくりと倒れた。

「結ちゃん!!」
「クロ!!」

二人が倒れたのを見て、慶太と皆人は二人に駆け寄り、様子を見た。
二人の身体中は拳を叩き込まれた痛々しい跡で埋め尽くされていた。
しかし、倒れている二人の表情は満足そうなものだった。

しばらくしてから二人は目を覚まし、お互いの健闘を称えあった。

「クロさん、今日は本当にありがとうございました! いい勉強になりました!!」
「クロも凄く楽しかったです! また、戦いましょうね!!」
「はい!!」

二人は力強く握手を交わすとそれぞれのパートナーの下に戻っていった。

結とクロの勝負はもう二度とないかもしれない。
しかし、二人にはまた精一杯殴りあえる気がしてならなかった。
そんな期待を胸に二人はそれぞれの日常へ戻っていった。


Fin


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