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+駄文
大きさ
 目がじくじくと痛む。
 辺りがゆっくり歪んで行った。

 ぼやけた視界の中で、普段は容易く踏みつけていた小石達が、私の前で群れを成し進行方向を塞いでいる。

 子どもの頃に読んだ童話で、小さな魚が集まり巨大な魚に化けるという風貌に、よく似ていた。

 私を殺すのだろうか。

 向かいに立つ白い影が揺らいでいる。

 邪魔をしたいのだろうか。

 無言でたたずむそれらは、ただ私の道を塞いでいた。



 「昇進が決まっていたのに、部長もついてないな」
 「当然の仕打だろう。俺らを散々上から踏みつけてきたんだ、バチが当たったんだよ」

 小声で話していた中、霊柩車が到着し、式場の入り口を塞いでいた数名の男達が左右に散った。

 その内の一名が、地面に揺らいでいた小さなたんぽぽに気付かず、足を重く下ろしていた。



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