Non Stop部屋
6

















まだ高校生なんていったら子供の部類だ。



だけど、あの頃からは随分と大人になっていた。




身長も伸びて
声変わりもして
顔立ちも端正に



なのに、
俺を見上げる熱を帯びた視線や
赤くなり俯く姿は変わっていない。






「…………政宗」

「ッ」




名前を呼ぶと体をビクつかせた。




「政宗………」

「………佐助さん………」



もう一度呼び掛けると、潤んだ瞳で俺の方を向いた。


6年前のあの日と同じ


俺に恋心を抱いている真っ直ぐな瞳………




「…………」



顔を傾けて近付けると、長い睫毛を震わせながら瞳を閉じた。


俺を………


求めている証拠。




「……ンッ…………」



軽く触れるだけのキス。


それなのに政宗は、鼻から抜けるような甘い吐息を洩らした。

それが恥ずかしかったのか、更に赤くなった姿は愛らしく、今度は深いキスをした。



口内を犯す俺の舌に動きを合わせようとするが、まだ遠慮がちな舌先を甘噛みすると、体が強張った。


敏感だな…………




手の置き場など、緊張して戸惑っているのは一目瞭然なので



「ほら…………」



俺は政宗をソファに横たわらせ、腕を俺の背中へと回させた。




「佐助さん………ッ」



政宗はしがみつく力が強くなり、俺は胸が苦しくなった。




こんなに俺を想い、長い間求めさせていたなんて………

偶然今日会えたから良かったものの、そうでなかったら俺は1人の人生を狂わせたままだったんだ………


再会したことが良いとは限らないが、止まったままの歯車は動きだしたのだ。




怖くて逃げた卑怯な俺。
それでも待ち続けてくれた政宗。




俺はその想いに報い、応えたい。


………いや、



『未成年に淫らな行為』


そんな常識が邪魔しているだけで、俺の気持ちも同じなんだと思う。


でなきゃ、男を抱きたいなんて、それこそ常識外れなことを考えるはずがない。

第一、政宗以外にそんな欲求を感じたことなどない………




俺がやらなければならないことは─────








「好きだよ………政宗」







伝えるのは俺の気持ち。

謝罪も欲望も感情全部ひっくるめた一言。





「さ………すけ……さ……ん」



政宗は顔をくしゃっとさせて、瞳いっぱいに涙を浮かべた。



「俺も………俺も、ずっと佐助さんが大好きなんです」

「ん…………」




俺への想いを口にした瞬間、大粒の涙は零れ落ちた。





あぁ…………




なんて愛しいんだろう…………




泣き出してしまった政宗を抱き締め、あやすように髪を撫でた。




俺の犯した過ちは、
小学生に手を出したことなんかじゃない。


政宗と向き合わなかったことが俺の罪なんだ…………






.

[*前へ][次へ#]

6/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!