Non Stop部屋
それは反則
政宗が『ダイヤモンド』と出会った時の話をしよう。




















落ちていたのは恋?






「あぁー………飲み過ぎた」



政宗は煙草を咥えながら、ムカムカする胃を擦っていた。



「太陽が黄色い………」




通勤・通学の時間帯は過ぎたといっても、街はこれから1日が始まろうと皆足早に動いている。


いつものように悪友(?)と明け方まで飲み歩いていた政宗は、
数時間経ったくらいでは酒は抜けておらず、寝不足もあって爽快な朝に嫌悪を感じていた。




「ぉ……………」



太陽が眩しくて目を細めていた政宗の視界に入ったのは、



(いい尻してんなぁ………あの細腰掴んで後ろからブチ込みてぇ………)



腰を曲げて歩道をほうきで掃いている1人の男。




(こういうのに限って顔はイマイチだったりすんだよな………まぁ、バックでする分には構わねぇ………か)



値踏みをしていたら顔がにやけそうで、煙草に手を添えて口元を隠した。



(んあ?派手な頭だな………)



距離が縮まるにつれて男も身体を起こし、オレンジの髪が一際目を引いた。



「あ、おはよーございます」

「ッ──────」



すれ違う直前に男は振り返り、政宗に気付いて挨拶をしてきた。



(マジかよ…………顔見ながらでもイケるぜ)



予想外な男前の顔立ちで微笑まれ、政宗はあまりの衝撃に咥えていた煙草を落としそうになった。



「あ、おぉ………何、ここの?」

「はい!今日から働き始める猿飛と言います」

「へぇ………下は?」

「え?あ、猿飛佐助です」

「ふぅ……ん………まぁ頑張れよ」

「ありがとうございます………それ捨てますか?」

「ん?………ぁ………」



政宗は佐助に気を取られていて、火種が根元に来ているのを指摘されるまで煙草を咥えていたことを忘れていた。



「悪いな」

「いえ」



政宗は靴の裏で揉み消して、差し出された塵取りに吸い殻を投げ入れた。



「あー………俺さ、この先にあるラーメン屋やってんだよ、良かったら来いな」

「はい」



人当たりの良い笑顔に後ろ髪引かれる思いをしたが、政宗は店へと足を向けた。



(佐助………ね………)



聞いたばかりの名前を頭の中で反芻し振り返ると、佐助が通行人に挨拶をしている姿が見えた。



(まさに客商売向けだな………けど、よりによってアイツんトコなんだよな………)



佐助がいたのは幸村の店の前。

政宗は苦い記憶が蘇り、自然と眉間に皺が寄る。



(迷惑な話だが、俺に一途でいろよ……幸村………あれを喰うのは俺が先だぜ)



佐助の後ろ姿を思い出すとどうしても緩んでしまう口元を手で覆う。



「あの腰は反則だろ………」




アルコールが一気に吹き飛ぶくらいに、ゾクゾクと昂ぶる気持ちを抑えるのに、政宗は必死だった。



これがダイヤモンド(佐助)と政宗のファーストコンタクト。







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