Non Stop部屋
キミはダイヤモンド
乙女のような?
子供のような?
詩人のような?
政宗様は時々、とてもロマンチックな表現をする。
目眩がする程強烈な言葉………
『なぁ、小十郎………ダイヤモンドが道端に落ちていたんだ………
これは神様が俺に拾わせようとした贈り物だと思うか?』
どこか熱に浮かされたように遠くを見つめる表情だった。
その日から俺の頭痛は続いている………
「こんばんは〜♪ラーメン1つ下さいな」
「…………」
俺の頭痛の種。
ダイヤモンドが笑顔でやってきた。
「政宗様はいねぇぞ」
「うん、知ってる……元親先生と飲みに行ったんでしょ?超ご機嫌で誘いに来たよ」
「断ったのか?」
「だってあの2人に付き合ったら朝までコースでしょー?無理無理ー!」
確かに。
あの隻眼歯科医とは気が合うようで、飲みに行ったら朝帰り………悪ければ昼まで姿を見せない。
「シュークリームの失敗作食べてたらしょっぱい物食べたくなってさー………政宗さんいないと落ち着いて食べれるしね」
ダイヤモンド………いや、猿飛はカウンターに座って肘をついて苦笑いをしていた。
政宗様を迷惑がるなんて生意気だ。
「………ほらよ」
「わーい♪」
比較的客の少ない時間帯なので(狙って来てるのか?)すぐに作り終え、目の前に差し出すと顔が輝いた。
「いただきまーす♪」
政宗様が気に入るように、コイツは笑顔が多い。
たまに腹黒い笑い方もするが、
素直というか頭が弱いというかヘラヘラしている。
まだ小僧だから………か。
「んー………おいしい♪」
スープを一口飲んでの一言。
当たり前だ。
誰が作ってると思ってんだよ。
こんな奴のどこがダイヤモンドなんだか………
買い被り過ぎですよ。
「少し鰹節増やしたのかなー?おいしい………政宗さんの上機嫌の理由はこれだったりして」
「─────ッ」
驚いた。
まさか、違いが分かるなんて………
政宗様の気紛れでほんの少し量を増やしたっていうのに。
「うちの旦那もだけど、ただの商売止まりじゃなくて、常に改良しようと挑戦するのって職人としてのプライドなのかな」
「………まぁな」
「人に感動を与えるってスゴイよなぁ………」
コイツはたまに、本当にたまに意外なことを口にする。
まぁ………認める気はないが、政宗様が目に掛けただけあるのかもしれない。
「………食え」
「え!?チャーシュー!やったー♪片倉さん大好き!」
「黙って食いやがれ」
甘やかしてどうすんだろうな………
真剣に『食』と向き合うコイツは、
ダイヤモンドなんて表現は大袈裟だが、ただの石ころよりはマシみてぇだ。
まぁ………
喜んで食べる姿は悪かねぇ………
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