Non Stop部屋
とある定休日
音楽や金属音、アナウンス
騒音、騒音、騒音…………
ここはパチンコ店。
よくこんな騒がしい空間に居座り続けられるものだ。
耳を塞いでも頭に響くような騒音の中、意中の相手を探した。
(ぁ…………)
見覚えのある後ろ姿を見付けた。
「スロットとは珍しいですね」
「………幸村か……」
スロット台から目を離すことなく、この騒がしい中で背後から声を掛けた人物を特定した。
「お前がいたら運が悪くなるから失せな」
「そんなこと言わないで下され………政宗殿」
咥え煙草のまま言い捨てられて幸村は苦笑いをした。
「定休日でもないのにお店が閉まっていて探しましたよ」
「………スープが気に入らなかったんだよ」
「ははは……政宗殿らしい」
職人気質の政宗はマイペースで商売をしていた。
「明日の仕込みをしなくて良かったのですか?」
「気が乗らねぇ時は何やってもダメなんだよ」
「それでスロットですか」
「っるせぇな………お前んとこは定休日だし暇だった……ん、だよ………来たッ!」
大当たり前兆のアクションが起こり、政宗は集中するように煙草を揉み消し、目を細めて回転する絵柄を睨んだ。
「………佐助ですか?」
「あぁ、お前に用はねぇ」
「冷たいですね………佐助がどこにいるか知りたくないですか?」
7を揃えようとメダルを投入する手が止まった。
「……………どこだ」
「では………某に抱かれて下さい」
「はぁ!?」
政宗はようやく振り返ると、そこには笑顔の幸村が。
「冗談じゃねぇ!2度とお前になんかヤラせねぇよ!」
「あの1回が忘れられなくて、本気ですよ」
「1回どころじゃねぇだろ!人が気ぃ失ってるのをいいことに何度も何度も………それも全部中出ししやがって!!」
忌々しい記憶が甦り、政宗はまた幸村に背を向けた。
「あまりに善くて意識を手放されたのでしょう?」
「はぁ?辛くて意識が遠退いたんだよ!気分悪いから早く消えな」
「………じゃあ佐助のことはお教え出来ませんね」
「あぁ、そんな条件飲めねぇよ」
キッパリと拒絶されて幸村は面白くなかった。
「ところで………7を揃えるのにいつまで掛かるのですか?」
「うるせぇな!気が散ってんだよ!」
「スロットは目に負担が大きいからパチンコの方がいいのでは?」
「だからうるせぇっての………パチンコではもう2万スッてんだよ」
せっかくのチャンスを物に出来ずにイラついていた政宗だったが、バツが悪くなった。
「なるほどね………」
「あ、テメッ」
幸村は政宗の背後から手を伸ばし、ボタンを押していとも簡単に揃えてしまった。
「負けた分を取り戻せたらまたうちに来て下さい」
「こんなの借りじゃないからな!」
「思ってませんよ………動体視力が良ければ出来ることですから」
「チッ………」
政宗は立ち去る幸村の背中に舌打ちをして、煙草に火を点けた。
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