Non Stop部屋
4
俺様何やってんだろ………
誰かのことが頭から離れないなんて、どうかしてるよねぇ。
こんな気持ち、いつ以来だろ……
可愛いと思った子でも、手を出す止まりだし、
今まで付き合った子は何人もいたけど、本気で好きになった子はいなかったし……
ヤリたいと思って、躊躇したのはヤクザの女くらいだし……
何なんだよコレ……
佐助は授業をサボり、屋上で仰向けになっていた。
昨日の軽やかな身のこなし、足の速さを目撃した野次馬や部活スカウトから逃げてきたのだ。
「らしくねぇ〜………」
青い空に向かって、やるせなさを吐き出した。
「………だな」
「ち、チカちゃん!?」
突然の声に驚いて起き上がると、元親がニヤニヤしながら佐助を見下ろしていた。
「テメェが落ち込んでて笑えるから来てやったぜぇ」
「出席日数ヤバイくせに………物好きだね」
佐助は馬鹿にされているのは分かっているが、それは仕方ないと諦めて苦笑いをした。
「んで、惚れちまった相手を考えて寝てんのか?」
「………ん〜」
「ヤッちまえば良かったのにな」
「それが出来なかったから悩んでるんでしょうが……!」
「フゥ………面倒くせぇ奴………」
元親は座り込みタバコに火をつけた。
「だってさ……ヤッて終わり、ってなったら嫌だったし……体からの関係は始めたくなかったから」
「何も始まってねぇじゃん」
「…………」
佐助はケラケラと笑う元親を睨んだ。
「グダグダ言ってねぇでヤッてこいよ」
「だーかーら………」
「お前がヤラねぇなら俺が喰っちまうぜ?」
「は?」
元親は目を細めて煙を吐き出した。
「前によ………屈辱のつもりで喧嘩吹っ掛けてきた野郎を試しに犯してみたらよ………結構イケたぜ?」
「チカちゃん………マジで?」
「まぁ……女の方がいいけどな………」
「鬼畜…………」
悪友の告白に苦笑いしか出てこなかった。
「ガタガタ言ってねぇでヤルことヤッて来いよ」
………ヤルこと………
それがしたいけど出来ないって言ってるのになぁ〜……
っていうか、
「何……不良……?」
「怖ぇ………」
ははは………
やっぱりエリート坊っちゃん学校に、馬鹿で不良学校の制服着た俺みたいなのがいると目立つよねぇ〜……
さっきからめっちゃ見られてるし。
昨日……
あの子もこんな思いしてたのかな………
佐助は校門の前のガードレールに腰掛けて待ち人を探していた。
(誰かに聞いてみようかな……)
「ちょっと君」
「えぇ!俺!?」
佐助は声を掛けようと腰を上げると、逆に声を掛けられた。
「何かご用でしょうか?」
「部外者の座り込みは他の生徒に迷惑がかかりますのでお引き取り下さい」
風紀委員、という腕章をつけた二人に佐助は睨まれた。
「あぁ〜……人を探してるんだけど」
「………」
「伊達政宗って子なんだけどさ」
「………」
「分からないかぁ〜………」
無言の二人にガックリと肩が落ちた。
「伊達さんに何の用なんですか?」
「え!知ってるの!?」
佐助は表情が明るくなった。
「………友人じゃないですよね?」
「あぁ〜……うん……ちょっと知り合いって言うか」
「最近伊達さんはストーカー被害に遭われてる聞きますが……」
「そうなんだ………って、俺のこと!?」
明らかに不審者を見る二人に佐助は焦った。
「ちょっと、違っ」
「帰ってくれないなら警察呼びますよ」
「はぁ!?俺はただ会いに来ただけで」
「やっぱり怪しいな………呼ぼうか?」
「ちょっ「おいっ!!」
「ッ───」
通報されかけた時、息を切らせながら駆け寄って来た人物に佐助は顔が綻んでしまった。
「お前らっ、その人は俺の知り合いだ!」
「えぇ!?こんな不良が副会長の!?」
「ふくっ………!?」
政宗の発言に驚く二人に、更に驚いた佐助。
「副会長、ホントなんですか!?」
「あぁ………他校の校風から学べることもあるからな……今日は意見交換だ」
「はぁ………」
政宗の説明に納得していない風紀委員だったが、
「だから……心配いらない」
「は……い」
「もういい………ありがとう」
柔らかな微笑みを向けられて、うっとりとしたまま一礼をして去っていった。
「………場所変えよう」
「あ、うん………」
(俺様入っていいのか…………?)
佐助もつい見とれてしまったが、政宗の背を追って校内に足を踏み入れた………
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