Non Stop部屋
月曜日の鬱
何故、己は男なのだ?
何故、愛する人も男なのだ?
何故、愛し合うのに制限があるのだ?
何故、求め合うのに自由が効かないのだ?
何故、隠さなければならないのだ?
何故………
愛する人には愛する家族があるのだ………?
何故………
何故、叶わぬ想いを抱き続けるのだろうか…………
何故…………─────
土 日 は 会 え な い 。
『今仕事中か?』
「うん………ごめん………あ、でも抜けてきたから少しなら平気」
突然の電話。
それなりに気は遣ってくれるけれど、合わすのはこちら。
『今日、俺時間取れるぜ?』
「あ〜……ホント?………でも…………ごめん。月曜はちょっと仕事忙しくて………」
『そうか………』
「ごめんね………」
『また連絡する』
「うん………電話ありがとう」
『会えなくて淋しいぜ……Honey』
「ん………俺も凄く淋しい………」
『またな………仕事頑張れよ』
「うん………じゃあね」
ツー………ツー………
耳に残る心地好いハスキーボイス。
もっと聞いていたかった。
オフィスを抜け出し、廊下でこっそり短い通話。
リスクを負ってでも向こうの都合に合わせなければ、電話も、会うこともままならない。
振り回されてもいい。
貴方の声が聞きたい
貴方に会いたい
貴方に触れたい
貴方を抱きたい
貴方を奪い去りたい…………
携帯を握ったまま壁に寄りかかり、余韻を噛み締め、会えない辛さを押しやった。
「…………よっし!お仕事頑張っちゃうよ〜!」
一つ大きな伸びをして、またオフィスへと戻った。
勿論、空元気だ。
今日連絡があったからといって、明日も連絡があるとは限らない。
今日会えなくても、またすぐに会えるとは限らない。
何故なら、自分の知り得ない生活スタイルが貴方にはあるから………
自分が知っていることはごく僅か。
名前と年齢
携帯番号とメアド
(一方通行だけど)
薬指に光る指輪………
だけど、きっと自分しか知らないこともある。
自分の派手な頭を『太陽みたいだ』と優しく梳きながら口付けをすることが好きだったり、
わざとイイトコを外して突いてやると、腰をくねらせて欲しがったり、
指だけでイッちゃった後は、恥ずかしいのを誤魔化すのか俺がすぐイクように、口でしてくれたり中を締め付けたり積極的に攻めてくれたり………
2人だけしか知らないことは多いと思う。
きっと貴女が知らない旦那さんのことを自分は知っているんだよ。
そんな些細なことでも一番になれることが欲しいのだ。
決して貴方に聞くことは出来ない。
俺の存在理由………
だから見付ける。
存在価値を………
貴方を考え、募る想い。
貴方を想い、焦がす我が身。
あぁ…………
浅ましい願いを重ねる己を
欲して止まないこの身体を
報われないこの関係を
断ち切れない想いを
呪え────────
×××××××××××××××
松本壱子様よりお題拝借
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