Non Stop部屋
(政→佐)佐政祭
自分の耳を疑った────
遠くの方から、拡声器の音がする。
「Noisy…………ッ!!」
ちり紙交換だか何だか知らねぇが、俺の安眠を邪魔するんじゃねぇ!
段々近付いてくる音に布団を頭から被って対抗しようとしたが………
「!?」
俺は自分の耳を疑った………
『古新聞〜……古雑誌〜………』
拡声器から聞こえてくる声………
何だ………?
とても心地好い響きだ。
耳元で囁かれたらゾクゾクしちまいそうな声………
こんな良い声の持ち主なら会ってみてぇな………
まぁ、録音テープを流しっ放しでオッサンがやってんだろうけどな。
あぁ…………いいな………
イイ声だ………
家の近くまでやってきた車は静かになった。
すぐそこが団地だから客がいたんだろうな…………
早く走り始めろよ………
もっと聞いていたくて物足りなかった。
「毎度どーも!」
「ッ!?」
拡声器から流れる声と同じ声がした。
嘘だろ…………
俺は起き上がって窓の外を見る。
「…………Shit!!」
オレンジ色の頭にタオルを巻いた男は…………
正直、好みだ────
男を見て好みって言っちまう通り、そういう趣味だから面倒なんだ。
俺は慌てた。
紐でなんか縛っちゃいないが新聞の山がある。
『毎度〜お馴染み…………』
ヤバイ………動き出した………!!
俺はそのまま持てるだけ新聞を抱えて家を飛び出した。
「ちょっと待て!」
車は俺に気付いたのか停まった。
「ありがとうございま〜す♪」
あの声で………
人懐っこそうな笑顔の男が降りてきた。
「はい、どーも」
俺から新聞をひょいっと受け取り、トラックの荷台に放った。
とても近い距離だから顔はまともに見れないが、やっぱり好みのイイ男だ………
「はい!じゃあこれね」
「………Thanks………」
トイレットペーパーを1つ受け取った。
「………もしかして、寝てるトコ起こしちゃったかな?」
「え………」
「寝癖ついてるよ………」
「ッ!!」
不意に髪を触られてしまってドキリとした。
目が合うとにっこりと微笑まれ、余計に恥ずかしくなった。
「2週間に1度は回ってるから、次は慌てなくていいからね」
「あぁ…………」
「じゃ」
イイ声で、イイ男…………
久々に出会った合格点ダントツクリア………
遠ざかる拡声器の音を最後まで聞いた。
耳に残る響きの良い声………
次も俺は待ってしまうんだろう………
×××××××××××××××
壱伍今様Presents
サスダテ祭!
安眠妨害されて、
美声のちり紙交換車があってもいいじゃん?って思って生まれたネタ。
子安ボイスは反則だ!
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