Non Stop部屋
4
俺に恋心を抱いていた小学生。
真っ直ぐな潤んだ瞳で俺を見て、
俺もそれが可愛くて仕方なく
手を出した──────
小さな身体を震わせながら俺の与える快楽に落ちていき、
俺を受け入れようと足を広げる覚悟を見せた。
だけど俺はそれ以上出来なかった。
普通だろ?
手を出した時点で犯罪だと思うけど、それ以上は絶対に駄目だと俺の理性がブレーキをかけた。
大きくなったら…………
そんな逃げ方をした。
小学生の憧れなんて一時の空想だから、どうにでもなる。
だけど、俺自身が引けなくなりそうで
本気になりそうで
怖くなって逃げた。
過ちは1度だけで十分…………
そうやって、俺は過去を封印していた。
なのに……………─────
「佐助さん…………」
目の前に立つのは誰だ?
足が宙に浮いてるような錯覚に陥る。
知っているけど知らないんだ。
面影がないわけではない。
あの頃も美少年だったが、
成長して端正な顔立ちになって、中性的でとても美人だ。
変声期前の高い声しか知らないのに、
俺の名を呼ぶ声はハスキーだ。
俺が屈まないと視線が合わなかったのに、少し下げるだけで視線が交わる。
俺を見上げる高さは変わったのに、俺を見つめる瞳は真っ直ぐで変わらない………
「もしかしたらと思って声掛けて良かった………お久し振りです」
「あ、うん………久し振り」
「すぐに俺って気付いてくれてびっくりしましたよ」
「いや、俺の方がびっくりだよ!」
情けない。
動揺して声が上ずった。
「気付いてくれて嬉しいけど、俺って成長してないですか?」
「いや、変わったよ………俺の知ってる政宗ってこんなちっちゃかったもん」
「ははっ………小学校以来ですよね………」
「うん…………」
政宗は少し目を伏せた。
長い睫毛は相変わらず………
「どうしよう………俺、すげぇ嬉しい………」
「ぇ…………」
「俺………佐助さんに会いたかったんです」
あぁ…………
あの頃と同じ真っ直ぐで潤んだ瞳。
『大きくなったら…………約束だよ』
そんな約束は無効だ。
昔は何度もオカズにしたけど、俺はショタコンでもないしゲイでもない。
それに政宗が今も俺にそんな感情を抱いているとは限らないし、憶えているかも分からない。
「佐助さん…………話したいこといっぱいあるんです………今日って………」
ダメだ…………
引けなくなる…………
例え政宗があの約束を忘れていたとしても、
2人きりであの話題に触れたら
俺は……………
「…………明日は休みだし、何も予定はないよ………」
周りだけが浮かれて見えたのは気のせいだったのかもしれない。
目の前の高校生に気持ちが浮ついているのは
今日が花の金曜日だからなのかもしれない…………
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!