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キミの面影(オヤジ親+幸)
※幸村のキャラ大崩壊
ギャグの許せる方のみどうぞ。
















「元親殿ではござらんか?」




仕事帰りの騒がしい街中、
不意に名前を呼ばれて元親は立ち止まった。



「やっぱり元親殿でしたか!」



駆け寄ってきた人懐っこい笑顔………




「ぁ………幸村か!?」

「はい!お久し振りですね」



元親と幸村はお互いを認識して満面の笑みとなる。




「懐かしいな!どれくらい振りだぁ?」

「高校卒業以来だから………20年振りですかね?」

「にしても、お前変わってないなぁ!老けたけどよ!」

「はははっ!そういう元親殿も老けましたよ」



昔の友人との再会に、元親は大喜びで幸村の肩をバンバン叩いた。



「せっかくの再会だ、飲み行こうぜ?」

「えぇ!」






2人は目に止まった赤提灯の暖簾をくぐった。





「その筒は?」

「あぁ〜これか………図面が入ってる」

「図面ですか………?」

「俺は今建築士やってんだよ………家もビルも店舗も手懸けてるんだ」

「さすがは元親殿!………昔から物造りが得意でしたもんね」



キラキラした視線は相も変わらず。
ただ、目尻の皺が当時とは違った。



「お前は何やってんだ?」

「いや………俺はただのサラリーマンですよ」

「ご注文は〜?」

「生中……幸村は?」

「俺も同じで」

「えっ!?」



席に着いて注文に答える幸村に、元親は目を丸くした。



「お前酒飲めるようになったのか!?」

「ははは………あの頃は未成年だったではありませんか」

「あ、うん……まぁな………そうか………飲めるんだな」



幸村の変貌に動揺した元親。



「んでよ、サラリーマンっつっても業種があるだろ?何だ?」

「いや………一般的なIT業界ですよ」

「あいてぃー…………ッ!?」



超アナログ人間だった幸村の口からまさかの単語だった。



「まぁ、とりあえず乾杯しましょう!」

「あ、あぁ………」

「俺と元親殿の再会を祝しまして!」

「恥ずかしい奴め…………」



熱い部分は変わっていなくて、元親は苦笑いしながらもホッとしたが、




「……………ぷはぁ〜!生き返る〜!!」

「はは………オヤジくせぇ……」

「お互いオヤジではござらんか」



一気に半分まで飲む姿に違和感は否めず、乾いた苦笑いが出てしまう。



「腹減ってるので適当に頼みますよ?」

「あぁ…………そいやぁ〜他の連中とは会ったりしてるか?」

「ん〜………政宗殿と佐助くらいですね」



幸村はメニューをあれこれ指差して注文していた。



「そうか………奴等は変わりないか?」

「そうですね………政宗殿は相変わらずお美しいですよ」



幸村は目を細めて微笑んだ。



「お前の伊達贔屓は変わってねぇんだな………」



元親はようやくビールに口をつけた。



「一度は振り切るつもりでしたが、やはり忘れられなくて………」

「そっかぁ〜………お前一途だな」



当時の、政宗を追い掛け回す幸村を思い出して元親は笑ってしまった。



「えぇ………それで……俺の方は簡単にケリがつきましたが、政宗殿の方が揉めてましてね………」

「…………は?」

「政宗殿の奥方が慰謝料を求めまして………まぁ弁護士の話では2千万くらい……」

「ちょ、ちょっと待て待て!!」



話が見えず、いや、見たくないとも思いながら元親は幸村の話を遮った。



「何の………話を………してるんだ?」

「離婚の話ですよ?」

「はぁあッ!?」



元親は声が裏返ってしまった。



「政宗殿と一緒になりたくて離婚しました………向こうの奥方が……、まぁ2千万程度で政宗殿を放してくれるのなら安いものですがね」

「え………えぇ!?伊達は………それでいいのか?」

「時間はかかりましたが、口説き落としましたので、俺に一任して下さってます」



にこやかに話す幸村に、元親の理解の域は既に越えていた。



「きっちり縁を切って俺の元へお迎えするのです………」

「あ………あぁ………そうか……」



元親は激しく動揺して幸村から視線を外してしまったので、幸村の行動に気付くのが遅れた。



「ふぅ…………」

「………────ッ!?お、お前っ!?」

「え?」



元親が目を白黒させて指差したのは、幸村の口にくわえられた煙草。



「お前…………あぁ………あ…………まぁ、とりあえず飲むか」

「えぇ!」



もう突っ込みを入れる気力をなくした元親は、飲んで気を紛らわせた………












「もしもし元就?………俺だけど……いや、詐欺じゃねぇから………
なぁ………幸村じゃねぇ幸村に会ってよ………
いや、痴呆じゃねぇし、酔ってねぇよ………
なぁ、ホント聞いてくれよ………
あの幸村がIT企業に勤めててよ………
あぁ、何か横文字使ってた………
そんで、ビールは飲むし焼酎もロックだし、煙草も吸うんだぜ!?
それもパーラメント!………あ、うん、銘柄は関係ないな………
それから、伊達と一緒になるために離婚調停中だってさ……
そう………あの伊達………伊達政宗……
なぁ………お前に会いに行っていいか?………うん………俺泣きそう………
赤外線通信されて番号も分かったから今度幸村に会わねぇか?………
野球のルールすら知らないような幸村が虎ファンだったしよ………
あぁ………やべぇ………涙出てきた………歳って取りたくねぇな………」




電話をしながら歩く元親の背中は、とても小さかった…………












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オヤジ祭第一弾。

酷過ぎる!!
でもさ、白い子ほど色に染まりやすいってことで。

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あきゅろす。
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