Ss
寒い時は(拍手log)
「さっみぃ!!」
冬の寒空は、今にも雪が降り出しそうな厚い雲に覆われている。
身を刺すように冷たい風に、政宗は声を荒げた。
「ホント、今日はかなり冷えるよねー」
並んで歩く佐助は息を大きく吐き出し、息の白さに驚いていた。
「今夜は鍋にする?シチューにする?」
「何でもいい………」
「おでんもいいかなー」
「さみぃ………」
「うん、早く買い物して帰ろうね」
夕飯のメニューを考える佐助はどこか楽しそうで足取りが軽い。
マフラーに顔を埋めながらその姿を政宗は睨んだ。
「…………鈍感………」
「ん?何か言ったー?」
「何も」
振り向いた佐助を追い抜き、政宗は先に歩いていった。
(人目もないんだから手ぐらい繋いで温めるとか気が利かねぇのかよ………)
プライドが高い政宗は、寄り添うことも甘えることも自分からすることがない。
(いつもは鬱陶しいくらいベタベタするくせに………)
政宗の欲する温もりは、求める前に佐助が与えているのだが、今日に限ってそれがないから政宗にとっては不愉快で仕方がない。
「クスッ…………」
(鼻の頭まで真っ赤にして可愛いなぁ………)
寒さと自分に対してイラついている政宗の背中に、佐助はこっそり微笑んだ。
(素直になれないトコが可愛いんだよね〜………)
政宗が拗ねているのが分かっているのに、佐助はついつい意地悪をしたくなって気付かない振りをする。
「政宗」
「………何だよ」
睨んで振り返る政宗は、寒さで涙目だった。
(ぁ………無理、可愛いッ)
「んッ………」
佐助は政宗をぎゅうっと抱き寄せてキスをした。
唇は冷たくて、お互いの吐息が熱を与える。
「こんな、外で……何してんだよ」
「ごめんね、我慢出来なかった」
睨み上げる視線には先程までの恨めしさがなくなっていた。
「俺が温めてあげるよ」
「………ん………」
素直になれないプライドと
イジメたくなる愛情は
0距離によって交ざり合う。
2人はもう一度唇を重ね、冬の寒さを忘れた。
×××××××××××××××
元拍手Ss初夏まで晒していた甲斐性無。
スミマセン。
ナチュラルなイチャラブが好き。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!