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知らぬが仏A(*慶+政)



















「俺のをしゃぶってよ」

「…………は?」






慶次の言葉はすんなり理解出来なかった………




男が男を好きなんて異常だと分かっているから、政宗は想いを潜めていた。

それがよりによって口の軽い慶次にバレるなんて………


そして、取引?
意味が分からない。



「するの?しないの?俺はどっちでもいいんだぜ?」

「…………ッ」



選択肢などないと言わんばかりの笑みに、ギリッと音がする程奥歯を噛み締めた。


悔しい
屈辱だ


けれどそれ以上に、恋心を抱く友人との関係を壊したくなかった………




「へぇ………してくれんだ」



政宗は椅子に座る慶次の前に膝をつく。

その表情は苦渋に満ちているが、政宗は腹を括ったように慶次のジャージに手を掛けた。



「政宗って………ホモなのか?」

「違う」

「佐助だけ……ってことねぇ………ッ」



政宗は慶次のモノを掴み出し、まだ萎えているソレを上下に扱き始めた。



「俺、男にこんなことされるの初めてだよ」

「………俺だって………」

「でも、佐助にしてやるのは想像したことあんだろ?」

「…………」



無言で睨み付けるのは肯定を意味する。



「ほら、早くしゃぶれよ」



多少は勃ち上がった股間を指差し、政宗を促す。



「…………ん………」




プライドの高い政宗が、

今こうして跪き、
好きでもない男の性器を触り、
理不尽な要求を飲もうとしている。



「ぁ…………ッ!」



小さく開いた口から覗かせた舌が、慶次の先端を舐め、そしてそのまま口の中へと含んでいく。



「はは……………そんなに佐助にはバラして欲しくないんだな」

「……………」



屈辱的な仕打ちにも抵抗せずに従うが、その瞳は怯まない強い光を帯びている。



(………やべ………)



従ってしている行為と真逆な、威圧的で反抗的な視線に、
慶次は優越感と征服欲を煽られた。



「佐助のチンコはもっと旨そうにしゃぶるんだろ?」

「…………」

「もっとちゃんとやらないと、佐助だってイケねぇよ」

「………はぁ、」



しっかり硬度の増した慶次のそれを咥える政宗は、苦しそうに顔を歪めて呼吸を乱していた。



「………ん、………」



鼻から抜ける色っぽい吐息。
唾液で濡れて、頭を上下に動かすとジュプジュプと響く水音。


慶次は鼓動が早くなるのが分かる位に興奮した。



「今って、佐助のしゃぶってる想像してんのか?」

「……………」

「ははっ………」



政宗は咥えたまま視線を上げるので、上目遣いのいやらしさに慶次は腰から背中へ、ゾクゾクと快感が駆け巡った。



「俺が口開かなきゃ、佐助にフェラしてるって思いながら出来るもんなぁ」

「…………」

「いいぜ、黙っててやるからオナニーネタにでもしろよ」

「………冗談じゃねぇよ」

「ふふ…………」



政宗は1度鋭く睨んでから目を閉じて咥え直した。



「ん…………」



余裕の笑みを浮かべていても、慶次は興奮のあまりイキそうになっていて、
声を出すのと射精を堪えた。



「ん………、ぁ………は……」



政宗は目を閉じたまま、

根元から先端まで舐め上げたり、

そのまま口を窄めて奥へと飲み込んだり、

初めてだと言う割に、慶次のポイントを攻めるように愛撫を続ける。



「んッ………ハァ………」


苦しそうに、けれど必死に咥える政宗の呼吸は乱れ

その吐息が慶次の肌をくすぐる。



(政宗…………もしかして…………)



慶次のジャージをぎゅっと掴む政宗は、どこか落ち着かない様子で、

表情も明らかに始めとは違って、熱に浮かされたように見える。



慶次は気付いた………




(チンコしゃぶって興奮してんだな…………でも────)




たまにうっすらと開ける瞳には『自分』という存在が映っていないことを慶次は分かっていた。


分かっているからこそ心の内に沸き上がる想い………





「ッ────」

「アッ………ん!?」




突然頭を掴まれ、反り立つモノから口を離されたことに政宗は驚いたが

次の瞬間、顔には熱い感覚───





「テ………メ………ッ!」

「ははっ………イッちゃった」



顔にかけられた精液を拭いながら政宗は慶次を睨み上げた。



「ぶっかけかよ…………」

「いや〜、口ん中に出すのは悪いから手に出そうと思ったんだけど、間に合わなかったよ」

「クソッ…………」

「顔洗ってきたら?」

「言われなくてもそうする」



舌打ちをしながら政宗は立ち上がった。



「………最後まで佐助と思われんのは癪だから………現実に戻したくなったんだよ」



教室から出て行く背中には届かないくらいの小声で呟き、笑みが零れてしまった。



「イイ顔してたなぁ………」




顔を上げさせた時、我に返ったように驚いた表情………

恐らく、高まっていた興奮も一気に冷めたであろう………

想い人を考えての快楽行為ではなく、



これは弱みを握られた『取引』












×××××××××××××××
慶次が黒い。

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