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知らぬが仏(政+α)
「某、今日こそ『ほわーど』なるものをやりたいでござる!」
体育の授業前、教室で着替えている時に幸村が声高だかに宣言した。
「旦那は反射神経がいいからキーパーだってば〜」
「某だって走り回りたい!」
「ダメダメ!すぐ手が出るからハンド取られるし、周り見ないで独走するもん」
「ほわーどが駄目ならぼらんちでもいいぞ!」
「何で専門的な言葉知ってんの!?」
「とにかく、走りたいのだ!」
駄々をこねる幸村と宥める佐助。
「さっきからグダグダとうるせぇんだよ!今から走ってこいッ」
「おぉっ!政宗殿!それもそうでござるな!では行って参ります!」
いい加減イラついてキレた政宗の一声に、幸村は叫びながら教室から走り去っていった。
「全く元気だよねぇ………伊達ちゃんも早く着替えなよ〜」
「はぁ………かったりぃ………」
政宗は学ランを脱ぎながら椅子から渋々と立ち上がった。
「また伊達ちゃん痩せたんじゃない?」
「な!?ちょ、テメッ!」
薄着になった政宗を佐助は後ろから抱き締めた。
「胸もぺったんこ〜♪」
「馬鹿ッ!やめッ………!」
身体を撫で廻されて政宗は頭に血が上り、抵抗で肘を入れようとしたが、佐助はひらりとかわした。
「あはは♪じゃ、早くおいでよ〜」
「クソッ………あの猿!」
殴り損ねて不機嫌極まりない政宗はドカッと椅子に座り直した。
「おい、政宗〜授業始まっちまうぜ?」
「いいんだよ!さっさと行けよ」
「…………」
クラスメイトが教室を出ていく中、政宗は携帯を取り出して弄り始めた。
「…………はぁ…………」
ようやく1人になって政宗は机に伏せながら深く息を吐き出した。
「クソ…………」
政宗は唇を噛み締める。
腰から背中へと駆け上がる感覚………
「政宗はサボり〜?」
「ッ!?」
突然声を掛けられて政宗は勢いよく顔を上げた。
「…………慶次か………何だよ………」
「いや〜………政宗の様子がおかしかったからさぁ」
「お前に心配されることなんて何1つねぇよ、さっさと行けよ」
「ちょっと確認したら行くよ」
「何…………うぁッ!!」
慶次はにやにやと笑いながら近づいてくるので政宗は警戒したが、咄嗟のことには対応出来ず、
「あ〜ぁ、やっぱり勃起してたよ」
ズボンの上から触っても形が分かる位に硬く充血している股間を、慶次はまさぐったのだ。
「何コレ………?」
「別に………っつうか離せッ」
「もしかしてさ………佐助に胸触られて感じちゃったとか?」
「………んなわけあるかよ………アッ!?」
慶次は握る力を強めたので、政宗の体はビクンと大きく揺れた。
「そっか………政宗って佐助のこと好きなんだね」
「はぁ?テメェ、何言ってんだよ」
「ふふ………図星なんだろ?いつもクールな政宗がこんなに動揺した顔すると思わなかったぜ?」
「ッ!」
政宗はガバッと腕で口元を隠したが、驚きで目を見開いたのは政宗だけではなかった。
「何………?政宗マジなんだ……」
「ッ………テメ………カマかけやがったのかよ………」
今更睨みつけても後の祭り。
「そっかぁ〜、佐助のこと好きなんだぁ………佐助が懐いてるだけだと思ったのに、政宗は恋しちゃってて釣れない態度してたのかぁ」
慶次は1人納得しながら笑みを溢すので、政宗は自分の失態に悔やんで歯を喰いしばった。
「………仲良くしてたダチが、ただのスキンシップで興奮してチンコ硬くしてるなんて知ったらどう思うだろうな?」
「…………」
慶次は隣の席に座った。
「普通なら引くよなぁ………俺でさえ今ショック受けてるし」
分かっている………
だからこそバレないように平静を努め続けていたというのに………
「黙っててやってもいいけど…………政宗次第かなぁ?」
「………脅しかよ………」
政宗は諦めるように溜め息をつく。
「そんな物騒なもんじゃなくて、ただの取引だよ」
慶次はニヤリと笑った。
「まぁ………とりあえずさ、俺のをしゃぶってよ」
「ッ──────」
予想外な条件に、政宗は絶句した。
続く
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