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三度目の正直(政+α)
「おい、元親………相談があるんだけどよ」
「あぁ?どうした?糞詰まりしてるような面してよぉ」
「………俺はお前のそういうデリカシーの無さにうんざりだ」
休み時間に、暗い表情で近付いた政宗は、
元親の一言に大きく崩れて机に腰掛けた。
「それで?」
「あ?………あぁ………」
政宗は何の用事だったのか一瞬忘れるくらいにうなだれていた。
「あのよ………お前は佐助に何お返しする?」
「は…………?」
元親はパラパラと捲っていた雑誌から目を離した。
「お返しって何だよ?」
「だから、ホワイトデーだよ」
「はぁ?テメェ………まさか、先月奴が配ってたチョコに何か返す気かよ」
「何だよ、お前は何も返さねぇ気か?」
「当たり前だろ?あんな幸村にやるついでに作ってバラまいたオカンチョコだぜ」
「俺は何だって貰ったもんは返さねぇと気が収まらねぇんだよ」
「はぁ………これだからいいトコの坊っちゃんは律儀だよ」
元親は嫌そうに頭を掻いて考えた。
「あぁ〜……じゃあ俺はホワイトデーってことで精液でもブッ掛けてやるよ」
「テメェはホントにデリカシーねぇな………」
「白って言ったらそれだろ?カカカッ」
元親の品のない笑い方に政宗は舌打ちをする。
「あー、もう1つあったな………白繋がりで洗剤や漂白剤でもいいんじゃねぇか?アイツ主婦だしよ」
「…………そんな寒いこと出来るかよ」
「んじゃぁ精液で決まりじゃねぇか」
「下ネタしか頭にねぇのかよ………お前に聞いた俺が馬鹿だった」
まともな会話にならなかった無駄な時間を嘆いた。
「当の本人に聞きゃいいんじゃねぇ」
「あぁ?」
「おい幸村ぁ」
購買でパンを買ってきて笑顔の幸村が丁度席に着こうとしていた。
「なんでござるか?」
「ホワイトデーによ、佐助に何かやるか?」
「ん?………バレンタインのお返しでござるか?」
幸村はパンを一袋開けながら考えた。
「どうせお返し用の菓子も佐助に作らす気なんだろ?」
「政宗殿!それではお返しにならぬではござらんか!ちゃんと某だって」
「何だよ?」
「そうですね………ホワイトデー故に………佐助の中に某の熱くて濃厚な精え「ちょっと待てッ!!」
最後まで言い切る前に政宗は言葉を遮った。
「幸村!テメェまで何考えていやがる!」
「てめぇまで………?元親殿も?」
「あぁ、白っていやそれだよなぁ」
「ですよね」
「お前等の頭ん中は思春期の中坊かよ!」
揃いも揃って下ネタだったことに腹を立てた政宗は教室を出た。
「あれー?伊達ちゃんどっか行くの?」
「佐助…………」
「ん?」
タイミングよく佐助と廊下で会い、身に降り掛かるであろう災難を不安に思った。
「お前、ホワイトデーは自宅にいるとあぶねぇからうちに来いよ」
「え………何それ………勝負パンツ穿いて行ってもいいの?」
「は?」
キラキラと輝く瞳を向ける佐助の意味が分からない。
「ホワイトデーに家に誘うなんて、『お前の白いの俺にかけてぇ』ってことじゃないの?」
「……………」
「あれ?伊達ちゃん?」
政宗は体を震わせているので佐助は不安になり、手を伸ばすと
「ッ──────!?」
「テメェも下ネタかよっ!!」
「痛ッ!ゲホッ、ちょ、伊達ちゃん!?」
政宗は佐助の手を掴み、そのまま一本背負いをしたのだ。
佐助は受け身を取ったにしてもそこは廊下。
衝撃の強さに去り行く背中を追うことは出来なかった。
「政宗殿、見事な一本………」
「アイツってあんな純情だったか?」
「ゲホッ………旦那?チカちゃん?」
教室の窓から見ていた元親と幸村。
政宗から守られるはずの佐助が1番の被害者になり、少なからずとも罪悪感を抱いた。
「佐助、パン1個やる」
「コーヒーか何か買えよ」
「え?何??」
小銭とパンを渡された佐助は意味が分からず、戸惑うだけ。
「白=精液って…………どんだけアイツ等欲求不満なんだよッ!」
怒りと恥ずかしさが収まらない政宗は凄まじい気迫で廊下を闊歩していた…………
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ホワイトデー小説。
白繋がりのネタ。
政宗がある意味純白なのもホワイトデー故に。
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