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3月3日(佐+政)
「雛祭りっていいよねー」
コンビニで雑誌をを立ち読みしていたら、隣に立って店内を見渡す佐助が呟いた。
「どこが?」
ボクシング漫画の続きが気になるからスルーして良かったんだが、
シカトするとうるせぇから、興味がなくても聞いてやる。
「えー、なんかさ………ピンク〜って感じで気持ちがほんわかしない?」
「…………」
アバウトな表現に「何言ってんだ?」と冷ややかなツッコミを入れようとしたが止めた。
ニュアンスだが、俺自身も何となく言いたいことは分かった。
桜のピンク色はテンションが上がるが、
桃のピンク色は心が和む。
寒い中で見る暖色系だからなのか………
「伊達ちゃんもそう思った?」
「あぁ………まぁ」
「じゃあさ、雛祭りケーキ買って帰ろうよ?」
「は?」
「伊達ちゃんと仲良くケーキを食べるなんて、もっとほんわかするなぁー」
どう?と、佐助は首を傾げて提案してくる。
伺いをたてるくせに、腹ん中は決まってるのにな………
仕方ねぇ…………
「雛祭りって女の行事じゃねぇか」
「いいじゃん!女の子を遠くから祝うってことでさ」
「ただ甘いもん食いてぇだけなんじゃねぇの」
「えー、違うよー伊達ちゃんと一緒にいたいの」
少し意地悪を言いながら俺は読みかけの雑誌を棚に戻した。
「ピンクなのは頭ん中もか?」
「え、あ、ん?んー………」
視線を逸らして口籠もる。
なんて分かりやすい。
「………お前、桃の節句じゃなくて、セックスのこと考えてたのか?」
「わ、伊達ちゃんおやじギャグー!」
「帰る」
「あぁー!ごめん!」
イラッとしたので俺は足早にコンビニを出た。
「だーてーちゃん!笑ってごめーん!」
「………うぉ!?」
追い掛けてきた佐助はそのまま後ろから俺を抱き締めて足を止めさせたのだ。
「ケーキ買うから機嫌直そうよ?ね?」
「…………お前のおごりだな?」
「んー………はーい分かりましたよ、お雛様」
「ククッ………少しならお前のピンクに付き合ってやるよ、五人囃子」
「ちょ、そこはお内裏様でしょー!」
「俺の隣に並ぼうなんざ10年早ぇ」
「10年も伊達ちゃんをお嫁さんに出来ないなんて耐えられないよ!」
「ばーか!」
頭ん中がピンクでも、
まぁ………
隣にいないよりはマシだな。なんて思う俺は、
雛壇に並んでいる2人に随分と流されてるのかもしれない。
春の陽気で頭が沸いているコイツの笑顔に釣られるなんて、
コイツの言葉でいうと
俺も『ほんわか』してるみたいだ………
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3月3日雛祭り小説。
佐助の気持ちは私の気持ち。
なんかほんわかするんだよねーってそれだけ。
女の子に幸あれ★
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